2019.02.28
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老健での虐待防止、リスクマネジャー配置の効果検証へ
全老健、年内に調査実施

メディカルサポネット 編集部からのコメント

高齢者虐待が年々増えています。もっともこれは報告ベースなので、実際は前々から多かったのかもしれません。人は自分に余裕がなければ他人を助けることはなかなかできません。介護疲れによるストレスに加え、職場環境などによって、心身共に疲れてしまった時、虐待を知らず知らずのうちに行っている可能性があります。厚生労働省は虐待を「身体的虐待」「介護・世話の放棄・放任」「心理的虐待」「性的虐待」「経済的虐待」に分類しています。虐待は他人事ではありません。今回は介護老人保健施設リスクマネジャーの配置を軸に、その効果の調査が行われます。

 

 全国老人保健施設協会(全老健)の東憲太郎会長は22日の記者会見で、介護老人保健施設(老健)での職員による施設入所者への虐待や転倒事故などに関する危機管理で中心的な役割を担う「介護老人保健施設リスクマネジャー」について、配置の効果を検証するための調査を年内に実施する方針を明らかにした。効果のエビデンスを積み上げ、全ての老健で同リスクマネジャーを配置すべきかどうかの議論につなげたい考えだ。【松村秀士】

  

入所者への虐待が起きないよう対策に取り組む考えを示した東会長(22日、東京都内)

   

 東会長は、老健での入所者への虐待事案に触れ、10年ほど前に比べて介護職員に求められることが増えているにもかかわらず人手が足りないため、職員は精神的なストレスを抱えていると指摘。このことが入所者への虐待の要因と推測しているとした。その上で、職員のメンタルヘルスを管理して虐待を未然に防いだり、職員による虐待が起きた場合の事後の対応をしたりすることも同リスクマネジャーの役割だと強調した。

 

 東会長はまた、老健に同リスクマネジャーがいることで虐待による事故・事件などがどれくらい防げたかの効果を把握するため、「今年中に調査をしてエビデンスを収集する」と説明した。社会保障審議会の介護給付費分科会などでの調査結果の提示を視野に入れている。調査は、全老健の会員の約3600施設を対象に実施される予定だ。

 

 同リスクマネジャーは、老健での施設入所者への虐待や入所者の転倒・転落、施設内感染などを把握し、事前リスクや事後の対応で中心的な役割を担う。全老健が認定する資格で、現在は約2150人がその資格を与えられている。

 

 ただ、老健の職員による入所者への虐待やそれによる死傷事故・事件などが後を絶たないことから、防止策として同リスクマネジャーの配置が各施設で求められている。

  

 出典:医療介護CBニュース

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