2018.11.22
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処遇改善の新加算、既存加算の要件クリアが前提に
I-IIIのいずれか、介護給付費分科会で厚労省提案

メディカルサポネット 編集部からのコメント

11月22日に第165回社会保障審議会介護給付費分科会が開催され、介護⼈材の確保に向けた重要課題の⼀つ、介護人材の処遇改善について話し合いが持たれました。厚生労働省は、「経験・技能のある介護職員」の処遇改善に加算の財源を手厚く配分したい考えです。加算率は経験・技能のある介護職員配置の手厚さによって2、3段階の差を設ける案が支持されています。

 

 2019年10月に創設される予定の介護職員の新たな処遇改善加算では、現行の処遇改善加算(I)から(III)のいずれかを取得していることが要件の一つになりそうだ。22日の社会保障審議会介護給付費分科会で厚生労働省が素案を示した。このほか、新加算の趣旨である「経験・技能のある介護職員の評価」の方法は、職能団体が実施するリーダー研修を受講した介護福祉士を高くしてはどうかという提案があった。介護給付費分科会では今後、同じサービスの事業所間でも職員配置によって加算をどのように配分していくか、事業所ごとの運用基準についてなど詳細を検討していく。【吉木ちひろ】

 

 

 新加算では、「訪問介護」や「訪問入浴介護」などサービスの種類ごとに「加算率」を設定し、上乗せ額に濃淡を付けることになっている。厚労省は、「経験・技能のある介護職員」の処遇改善に加算の財源を手厚く配分したい考え。分科会では、「それ以外の介護職員」「介護職員以外」を含め、各事業所が運用基準に取り扱いをどう規定すべきかなど細部を引き続き検討する。

 

 現行の処遇改善加算(I)-(III)のいずれかの取得を新加算の要件にすることを厚労省が提案したのは、キャリアパスの整備や職場環境の改善など、職員を定着させるための事業所の取り組みを担保するため。この点について、参加委員はおおむね了承したが、欠席した井上隆委員(経団連常務理事)が、最も要件の厳しい(I)の取得のみを対象とすることを書面で求めた。

 

 同省は、同じサービス内での加算率を全ての事業所で一律とする案と、経験・技能のある介護職員配置の手厚さによって2、3段階の差を設ける案を示し、意見交換では、一律の設定を支持する意見はなかった。

 

 東憲太郎委員(全国老人保健施設協会会長)は、「新加算の趣旨は経験・技能のある職員を評価すること。加算率に差を設けないと、職員配置が手厚い事業所とそうでない事業所の逆転現象が起きる」と指摘した。石本淳也委員(日本介護福祉士会会長)も「経験・技術がある職員に対する評価が見える形で評価を」と、事業所間に差を設ける案を支持した。

 

 事業所内での財源の配分は、「経験・技能のある介護職員」「それ以外の介護職員」「介護職員以外」の順に手厚くすることを厚労省が提案した。「経験・技能のある職員」の処遇改善に財源を手厚く配分する枠組みを維持するため、事業者側の裁量を認めながらも、一定の基準が必要だという意見があり、引き続き協議する。

 

 

 出典:医療介護CBニュース

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