2021.07.08
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21年度に全病院の労働時間把握状況を調査へ―医師の働き方改革で厚労省

メディカルサポネット 編集部からのコメント

厚生労働省の「医師の働き方改革の推進に関する検討会」で、2024年4月からの医師の時間外労働の上限規制に向けた検討スケジュールなどが確認されました。これを受け都道府県の「医療勤務環境改善支援センター」は、年間の時間外労働がA水準(年960時間)やB・C水準(年1860時間)を超える医師がいる医療機関を対象に、「医師労働時間短縮計画」の作成状況の把握や作成支援といったフォローアップを行います。

 

厚生労働省の「医師の働き方改革の推進に関する検討会」が7月1日開かれ、2024年4月からの医師の時間外労働の上限規制に向けた検討スケジュールなどを確認した。この中で厚労省は、全病院を対象とした労働時間の把握状況などに関する調査を21年度中に実施する方針を明らかにした。都道府県の「医療勤務環境改善支援センター」は国から調査結果についての情報提供を受け、年間の時間外労働がA水準(年960時間)やB・C水準(年1860時間)を超える医師がいる医療機関を対象に、「医師労働時間短縮計画」(以下、時短計画)の作成状況の把握や作成支援といったフォローアップを行う。

 

また、5月に公布された改正医療法で、時間外労働がA水準を超える医師がいる医療機関の時短計画作成に関する規定に一部変更があったことも報告された。原案は、該当する医師がいる医療機関に21年度中からの時短計画の作成と計画に基づく取組の実施を義務づける内容だったが、法案化の過程で23年度末までの時短計画の作成については努力義務とする内容に改められた。上限規制の適用前に義務化対象を特定して確実に履行させるのは困難と判断したため。新型コロナに対応する医療機関の負担にも配慮した。

 

 これに伴い、特例水準(B、連携B、C)の指定を目指す医療機関が受審する第三者評価(医療機関勤務環境評価センターが実施)の内容にも若干の変更があった。原案では、時短計画に基づく取組状況を評価することになっていたが、24年度以降の時短計画案の内容(取組実績と24年度以降の取組目標)を評価する仕組みに改める。

 

■努力義務化による医療機関の取組の遅れを危惧する声も

 義務化が努力義務に緩和されても、特例水準の指定申請をする医療機関が、都道府県への指定申請の前に24年度以降の時短計画案を作成して第三者評価を受ける一連の流れに変更はないが(第三者評価の受付開始は22年度の予定)、構成員からは医療機関の取組に遅れが出ることを危惧する意見が出た。島田陽一構成員(早稲田大学法学部教授)は、「努力義務になったら24年度までやらなくていいという雰囲気を作らないように積極的な手立てを取ってほしい」と国に要請。家保英隆構成員(高知県健康政策部長)も、上限規制導入の24年度直前に特例水準の指定申請が集中する可能性を指摘し、対応策の検討を促した。

 

 

出典:Web医事新報

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