2021.04.15
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コロナワクチン接種後のアナフィラキシー79件に増加も「重大な懸念なし」

メディカルサポネット 編集部からのコメント

専門家によると、報告されている新型コロナワクチン接種後のアナフィラキシーの事例のうち、症例定義に合致するものが79件に上ることがわかりました。また、高血圧の高齢者がアナフィラキシーを起こしたときの対応について、アナフィラキシーは命に関わるため、アドレナリンを打つことに絶対的禁忌はないとして、接種現場でのアドレナリン筋注について投与量や追加投与などの工夫による適切な使用を求めています。

 

新型コロナワクチン接種後のアナフィラキシーの発生状況について最新データが4月9日、厚生科学審議会と薬事・食品衛生審議会の合同部会に提出され、国内での接種が始まった2月17日から4月4日までの間に医療機関からアナフィラキシーとして報告された350事例のうち、専門家の評価で「アナフィラキシーの症例定義に合致する」(ブライトン分類レベル1~3)とされた事例は79件(レベル1:14件、レベル2:57件、レベル3:8件)に上ることが分かった。

 

4月4日までの国内での推定接種回数は109万6698回であり、79件という発生頻度は100万回あたりで換算すると72件となる。英国MHRAの報告(100万回接種あたり17.7件)、米国CDCの報告(100万回接種あたり4.7件)などと比べ日本におけるアナフィラキシーの発生頻度は依然として高い。

 

しかし合同部会は「被接種対象者の違い、報告制度の違いなどの理由から海外との単純な比較は困難」と判断。アナフィラキシーとして報告された事例はほぼすべて軽快していることから、現時点では「重大な懸念は認められない」と結論づけ、国内外の報告を注視しながら、これまで通りワクチン接種を進めていくことを確認した。

 

■高齢者への接種「重症喘息の方は注意が必要」

この日、合同部会に参考人として参加した日本アレルギー学会の中村陽一理事は、4月12日からスタートする高齢者へのワクチン接種について「高齢者に比較的多い重症喘息の方は、アナフィラキシーを起こしたときに重症化しやすいため注意が必要」と指摘。

 

また、高血圧の高齢者がアナフィラキシーを起こしたときの対応について「血圧が200に近いような高齢者にアドレナリンを打つのは躊躇すると思うが、その場合は、アドレナリンの量を減らして通常0.3mg打つところを0.2mgにし、効果が悪ければ15分後に追加投与するなどの工夫をしてほしい。アナフィラキシーは命に関わるため、アドレナリンを打つことに絶対的禁忌はない」として、接種現場でのアドレナリン筋注の適切な使用を求めた。

 

この日の合同部会では、新型コロナワクチン接種後の死亡として報告された事例は4月7日までに6件(出血性脳卒中4件、急性心不全1件、溺死1件)に上るとのデータも提出されたが、いずれも専門家の評価で「ワクチンとの因果関係は評価できない」とされている。

 

 

出典:Web医事新報

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