2020.09.25
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【識者の眼】「新型コロナ・インフル同時流行を見据えた一般診療所の院内感染防止対策工事」杉浦弘明

メディカルサポネット 編集部からのコメント

今年の冬は新型コロナウイルス感染症とインフルエンザが同時に流行する可能性があります。島根県のすぎうら医院理事長の杉浦弘明氏は同時流行を見据え、一般診療所の院内感染防止対策工事を行いました。発熱者・呼吸器系感染者の方に専用の診察室を設け、入室から退室まで感染症と感染症以外の患者さんを空間的・時間的に区別し、院内感染が生じないように運用することで、運用側の問題点を解決したようです。検査を同院で実施するかについては当地区の検査体制をみて判断するようですが、新型コロナの検査を実施することがあれば、最大限配慮すると述べています。

 

当院では今冬の感染症対策として、総合玄関(写真1)からは発熱者・呼吸器系感染者の方の入室はお断りし、指定時間に別の入口から入室していただくこととしました。大体の工事は9月8日に終了しました。

 

2009年新型インフルエンザ流行時に医院北側に外から直接入室できる感染症隔離室を1カ所作っていました(写真2)が、室内が分離されていなかったので、一人診察して、送り出して、また外から入室させる大変運用効率が悪い状態でした。そこで、これまで窓枠しかなかった医院の東側の外壁に、出入口を4つ新設しました (写真3・4) 。これを発熱者・呼吸器系感染者の専用出入口としたのです (扉に①〜④と記載があります)。扉を開けると診察室(写真5)に直接入室できる仕組みとしました。空気は室内から室外へと常に送風されています。指定時刻まで自動車の中で待機していただいて、この扉から順々にお入りいただきます。順次入室、退室が可能となり、運用側からすると、これまでの問題点が解決できました。

 

 

医師はガウン、フェースシールド、マスク、手袋を使用して診察します。今後迅速診断キット用いて、新型コロナウイルス、季節性インフルエンザの検査を当院で実施するかについては、当地区の検査体制をみて判断します。仮に小数例であっても、新型コロナの検査を実施することがあれば、全検体はポリ袋内の密閉空間で実施し、検査器具等の汚染物が周辺に付着しないように最大限配慮します。 

 

このように当院では、一般診療所において、感染症と感染症以外の患者さんを空間的・時間的に区別し、院内感染が生じないように運用しています。

 

杉浦弘明(すぎうら医院理事長)[地域医療] 

 

出典:Web医事新報

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