2020.05.26
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【識者の眼】「地域における医師と看護師の連携・協働〜診療所看護師の役割とは」石橋幸滋

メディカルサポネット 編集部からのコメント

チーム医療や地域包括ケア・在宅医療の推進などにより、診療所看護師が担う役割が大きくなっています。「診療の補助」に特化する傾向にあったこれまでの診療所看護師が、プライマリ・ケアの役割を担うことで、地域医療が大きく変化していくことが期待されています。「診療の補助」と「療養上の世話」という、保助看法に定められた定義の中で、いかに地域に入り込み多職種と連携・協働していくか、診療所看護師への期待は今後もさらに高まると考えられます。

 

近年医療はチームによって行われるという認識のもと、医師以外の職種の役割が大きくなっている。その中でも看護師の役割は極めて大きく、病院医療の要と言っても過言ではない。

 

これに対して診療所の看護師の役割はというと、まだまだ医師の診療補助だけという看護師も少なくない。しかし、地域包括ケアや在宅医療の推進などに加え、病院の外来診療抑制の流れの中で、診療所の役割も大きく変わりつつあるし、地域におけるチーム医療の推進により、診療所看護師の役割は変化してきている。

 

図にプライマリ・ケア機能を担う診療所の看護師の役割を示したが、日本プライマリ・ケア連合学会では、図のような役割を果たせる「プライマリ・ケア看護師」の育成を2019年から始めている。

 

プライマリ・ケア機能を担う診療所における看護師の担うべき役割

 

看護師はこんな能力をなぜ身につけなければならないかという意見もあるかもしれない。しかし、プライマリ・ケアの発達している海外のプライマリ・ケア・センターやGPオフィスで勤務する看護師の役割として、①トリアージ(電話・面接)、②予防接種・健康診査、③マイナー・イルネス対応、④慢性疾患管理─の4つが基本的役割として規定されている。

 

日本の診療所でも、すでにこの役割の一部を担っている看護師は少なくないが、今後このような役割を看護師が担うことにより、地域医療が大きく変化していくであろう。

 

【文献】

1)斜森亜沙子, 他:日本プライマリ・ケア連合学会誌. 2015;38(2):102-10.

 

石橋幸滋(石橋クリニック院長)[#多職種連携・協働 ]

 

 

出典:Web医事新報 

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