2018.04.16
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認知症の終末期ケア、最も良い治療メニュー選択を 日本精神科病院協会が報告書公表

メディカルサポネット編集部からのコメント

日本精神科病院協会は、認知症の症状が進んできた段階での終末期ケアについての報告書を公表しました。また、家族らと医療者間のコミュニケーションの重要性、延命治療の概念についても言及しています。

  
日本精神科病院協会は、認知症の終末期ケアに関する報告書を公表した。厚生労働省の補助金事業の一環として同協会の検討委員会が取りまとめたもので、経管栄養による延命措置に関しては、「精神科治療の中の経管栄養という延命治療の必要性について検討する必要がある」と指摘。「本人と家族、家族間での異なる意見に耳を傾け、患者にとって最も良いと思われる治療メニューを選択する」といった方向性を示している。【新井哉】
 
認知症の症状が進んできた段階での終末期ケアについて、報告書は「多くの問題が含まれている」とした上で、本人の意思表示がないか、不明の場合は「事前に本人が人生の最終段階あるいは一般的な治療に対してどんな考え方をしてきたのかが重要となる」としている。
 
また、テーマの設定に沿って選定した認知症研究の「エキスパート」や家族・介護者への聞き取り調査などの要約を記載している。例えば、認知症の人の意思決定支援について、千葉大社会精神保健教育研究センターの五十嵐禎人教授(法システム研究部門)は判断能力の評価の方向性に触れ、「評価をする時は、なるべく本人の判断能力を高めるように、引き出すように(エンパワーメント)、面接なりの工夫をして評価をすること」としている。
 
報告書では、家族らと医療者間のコミュニケーションの重要性にも言及している。治療や処方などの対応について、家族からは、説明や意思決定の支援を求める意見が出た一方、「主治医とは、終末期の医療については何も話していない」といった指摘もあった。
 
延命治療に関する概念の明確化を求める意見も報告書に盛り込まれた。検討委員会の意見交換や講評では、「延命治療というものの概念が、身体合併症の治療というのをどこまで考えているのかあいまい」「どこから延命とするのかという概念は、家族も医療者もはっきりしていない」といった疑問の声も出た。
 

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