2018.04.13
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都道府県別の診療報酬、「医療の質低下の恐れ」
~日医・横倉会長、反対姿勢を改めて表明

メディカルサポネット 編集部からのコメント

日本医師会の横倉義武会長は「医療の質の低下を招く恐れがある」ことを理由に「都道府県別の診療報酬」の設定に反対を表明しました。

 

   

「都道府県別の診療報酬」の設定について繁多の姿勢を改めて示した横倉会長(11日、日医会館)

  

財務省が財政制度等審議会財政制度分科会で「都道府県別の診療報酬」の設定を提案したことを受け、日本医師会の横倉義武会長は11日の記者会見で、「県境における患者さんの動きに変化をもたらし、それに伴う医療従事者の移動によって地域における偏在が加速することで、医療の質の低下を招く恐れがある」とし、反対の姿勢を改めて示した。【松村秀士】

 

11日の財政制度分科会で財務省は、医療費の適正化につなげるため、「地域別診療報酬」を設定する仕組みの活用を提案した。

 

会見で横倉会長は、「都道府県別の診療報酬」の設定について、「これまで、医療は地域によって分け隔てなく全国一律の単価で提供すべきだと述べ、一貫して反対の姿勢を示してきた」とし、財務省案に反対する姿勢を示した。

 

横倉会長はまた、「診療報酬で人事院規則が定める地域に従い、1級地から7級地までの地域加算があり、入院基本料などに加算されている」とし、既に地域の特性を考慮した加算が設けられていると指摘した。

 

「都道府県別の診療報酬」の設定については、2017年12月7日の社会保障審議会医療保険部会で「議論の整理案」として示されたが、委員からは「慎重に検討する必要がある」といった意見が出ていた。

 

高齢者の医療の確保に関する法律の14条では、「厚生労働大臣は、医療費適正化を推進するために必要があると認めるときは、一の都道府県の区域内における診療報酬について、地域の実情を踏まえつつ、適切な医療を各都道府県間において公平に提供する観点から見て合理的であると認められる範囲内において、他の都道府県の区域内における診療報酬と異なる定めをすることができる」(診療報酬の特例)とされている。ただ、具体的な運用規定がなく、この特例はこれまで適用されたケースはない。

 

奈良県が3月に策定した第3期医療費適正化計画では、医療費の削減目標を23年度に達成するのが困難な場合、全国とは異なる診療報酬を設定するよう、国への意見提出の検討を方針として掲げている。

 

出典:医療介護CBニュース

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