メディカルサポネット 編集部からのコメント

志賀隆氏(国際医療福祉大学救急医学主任教授、成田病院救急科部長)は、①抗体価の減少とともに起こるブレイクスルー感染、②世界のワクチンの接種率、③社会活動の活発化、などの影響により、再び感染者数が増え第6波が起こると想定し、冬に備える必要があると述べています。今後はこれまでの支援・対策に加え、ロナプリーブ(抗体カクテル療法)の活用や保健所の弾力的な支援体制など次の準備を考えていく必要があるとも述べました。

 

表題について、必ず来るものだとして冬に備えた方がいいと考えています。理由は、

 

1)ブレイクスルー感染が抗体価の減少とともに起こる

2回目のワクチン接種後より抗体価が漸減してくるため、7〜8カ月経過したところで3回目接種を検討することが考えられています。そのため医療従事者や高齢者は、冬に向けて3回目のワクチン接種となっていくでしょう。その後、2022年度に利用可能になるであろう国産ワクチンも含めてどの程度、3回目接種まで実施できるかが鍵と考えられます。

 

2)世界のワクチンの接種率

1回目のみも含めて現在40%を超えたところですが、70〜80%となるまでまだまだ時間がかかると考えられます。そうなるとどうしてもワクチン未接種者の間で感染が拡大して、感染性の強い変異株が発生することになるでしょう。ワクチン回避ができる新しい変異株が今までに出現してきているため、今後も変異株に注意をしなくてはなりません。

 

3)社会活動の活発化

ワクチンを打って副反応も経験して、それでもずっと社会活動ができないままというのは、多くの人に受け入れがたい状況であると考えます。国外ではデンマークのコロナパスポートのようにワクチン接種と検査を組み合わせて社会活動を広げる国が増えています。日本でも検討されていますし、実施されると考えたほうが現実的でしょう。そうなるとどうしてもブレイクスルー感染や未接種者の感染によって再び感染者数が増えていくと考えられます。

 

今回、第5波では在宅の患者さんの治療ために地域の先生方、訪問看護、保健所との連携が活発に行われました。ホテル療養、臨時医療施設、入院待機ステーション、酸素ステーションなども各地で活用されました。我々は必ず来る第6波に備えて、波と波の間に振りかえりをして、ロナプリーブ(抗体カクテル療法)の活用や保健所の弾力的な支援体制など次の準備を考えていく必要があると思っています。

 

志賀 隆(国際医療福祉大学救急医学主任教授、成田病院救急科部長)[新型コロナウイルス感染症]

 

 

 

出典:Web医事新報

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