2020.08.27
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コロナの影響薬局で薄く「次期改定で配分見直しも」
日本医師会

メディカルサポネット 編集部からのコメント

日本医師会は2020年4~6月の調剤薬局等の経営状況の調査結果を公表しました。新型コロナウイルス感染症の影響を受け、病院や診療所の収入や利益率が落ち込んでいる中、調剤関連の売上高は前年同期比でプラスになっている企業の存在があることを指摘しました。松本常任理事は、決算期など各社の事情や条件が異なることを認めながらも、薬局経営は「あまり打撃を受けていない」との認識を示し、中川会長は「仮に医科、調剤の差がこのまま推移すれば、次期診療報酬改定で配分の見直しも必要」としました。

 

 日本医師会(日医)は26日、新型コロナウイルス感染症が薬局やドラッグストアにおける調剤関連事業に与えた影響について、調査結果の一部を公表した。2020年4-6月の調剤関連の売上高が前年同期比でプラスになっている企業が存在する一方で、病院や診療所では、収入や利益率が落ち込んでいることを強調。「仮に医科、調剤の差がこのまま推移すれば、次期診療報酬改定で配分の見直しも必要」と踏み込んだ。【吉木ちひろ】

 

日医の中川会長

日医の中川会長

 

 松本吉郎常任理事は26日の定例記者会見で、これまでに各病院団体が公表している病院や診療所の20年4-6月の医業収入や医業利益率が対19年同期比で落ち込んでいることを改めて説明した=表=。

 

日医の会見資料より

日医の会見資料より

 

 一方で、日本調剤(東京都千代田区)をはじめとする大手調剤薬局の20年4-6月の調剤関連事業の売上高(調剤報酬と薬剤料)や、ドラッグストア大手の20年3-5月の調剤関連事業の売上高などを取り上げ、ウェルシア薬局(東京都千代田区)、スギホールディングス(愛知県大府市)、ツルハホールディングス(札幌市)、キリン堂(大阪市)など対前年比でプラスとなっている企業の存在を指摘した。これらのデータは、各社の決算資料を基にしたもの。売上高が増加している理由について、日医は、「M&A、新規出店、長期処方が主要因であるが、20年度の報酬改定も一部寄与したものとみられる」としている。

 

 松本常任理事は、決算期など各社の事情や条件が異なることを認めながらも、病院や診療所と比べると薬局経営は「あまり大きな打撃を受けていない」との認識を示した。

 

 また、中川俊男会長は、この調査の狙いについて調剤報酬の「構造的に打撃が少ない」ことを明らかにする意図があったと説明。例えば、調査結果をまとめた資料では、内服薬の30日処方を90日処方にした場合の半年間の調剤料について、医科は66点(11点×6回)から22点(11点×2回)まで下がるのに対し、調剤薬局では462点(77点×6回)から172点(86点×2回)となることから、「処方箋1枚当たりの調剤料は、調剤は医科に比べて長期処方の影響が少ない」などと指摘している。中川会長は「医科、歯科、調剤のバランスは公平でなければいけない」として、診療報酬改定時の医科の改定率を1としたときの歯科と調剤との配分比率「1:1:0.3」についても「このままでいいのかと(これまでも)一貫して問題提起している」と言及した。

 

 

出典:医療介護CBニュース

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