2021.05.10
5

薬局経営に求められる「逆張り」(2)
~薬局3.0に必要な逆張りを展望する~

狭間研至の薬局経営3.0~社長が変われば薬局が変わる~ vol.8

狭間研至の薬局経営3.0社長が変われば薬局か変わる

 

編集部より

医師であり調剤薬局の経営者でもある狭間研至さんの連載コラム「薬局経営3.0〜社長が変われば薬局が変わる〜」。前回に続き第8回も、これまでの薬局経営手法について「逆張り」という投資用語を使って解説いただいています。今回は迫りくる「薬局経営3.0」に向けて必要な具体的な逆張り3つを提案いただきました。皆さんの薬局はこれらのうちのいくつ準備ができていますか?

  

こんにちは。狭間研至です。薬局に限らず、経営戦略を考える上で、あえて逆張りを考えることは時と場合によっては極めて重要です。その時と場合というのは、既存の手法が成熟期に入り出して転換期を迎え始めたころからで、業界全体が頭打ちになったり、牌の取り合いになったりしたころです。このような時期に、あえて、競合の少ない場所を目指すというのは、いわゆる「ブルーオーシャン戦略」にも通じるもので、それほど奇をてらったものではありません。実際、前回お話したように、私が薬局2.0と呼ぶ「調剤薬局」も、立地、商品、業務内容という基本的な内容を、それまでの個人薬局(薬局1.0)とは逆張りで行った結果生まれたビジネスモデルです。今回は、薬局3.0に必要な逆張りについてご一緒に考えてみたいと思います。

 

  

患者さんに来ていただくだけではなく、「こちらからも行く」

  

薬局2.0での業務フローは、医療機関で処方箋を受け取った患者さんが、医療機関の出口を出て薬局にその処方箋をお持ち込みになるところが最初のスタートになります。これによって、医療保険上の契約が成立し、保険調剤を行うことになります。このために、薬局は患者さんの利便性を考えて、医療機関の極近くに出店することになりました。分業率が極めて低かったころは、保険調剤を行える薬局も少なかったでしょうから、患者さんの利便性はもとより、医薬分業という制度の実効性を高めるためにも、医療機関と薬局の距離を詰めて、できるだけ患者さんが薬局に来ていただきやすいようにしてきたのだと思います。

 

医薬分業が進展するにつれ、1日に1000人以上の外来患者さんがいらっしゃる大病院が医薬分業に踏み切ると、その前に「門前薬局」が林立するような事態になりました。もちろん、1店舗で1000人を裁くことは、基本的には極めて難しいので、患者さんの利便性を考えて当初は歓迎されたのかも知れません。

 

 

会員登録されている方のみ続きをお読みいただけます。

この記事を評価する

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

TOP