2020.04.03
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必見!!コロナウィルス感染症拡大に対する在宅ケア領域の指針
【緊急事態宣言のとき、訪問看護師は看護を続けていいの?について確認しました】

拡大を続けるコロナウィルス感染症。外出自粛や在宅勤務が推奨される中、医療従事者たちはその最前線で闘いを続けています。緊急事態宣言がされるか否かの瀬戸際にある今、在宅ケア領域に携わる医療従事者への指針がないことに疑問を持ったウィル訪問看護ステーション江戸川所長の岩本 大希さんが、衆議院内閣調査室に問い合わせ、そこから得た回答、およびウィル訪問看護ステーションで取り組んでいる対策について、3月27日にメディアプラットフォーム「note」にて共有しました。刻々と状況が変化する中、「私たちはどう行動すればいいのか?」と判断に迷う在宅ケア領域の管理者の皆さまの参考になれば幸いです。
※一部メディカルサポネット編集部で記事本文を再構成しております。

編集・監修/高山 真由子(看護師・保健師・看護ジャーナリスト)

 

東京都がcovid-19の感染爆発を抑え込むため、平日夜間・休日の外出自粛要請・仕事の在宅ワーク移行推奨を宣言し、また近隣都道府県においては県境の移動自粛が各知事よりアナウンスされています。そこへ更に緊急事態宣言が政府より出た場合より広く外出自粛や活動自粛が求められる中で、私たちはどうすれば良いでしょうか?

 

治療機関である病院の医療従事者は規制を受けない(むしろ最重要な人的資源として出勤できることが重要)ことは想像に難くありません。一方在宅ケア領域にいる医療・介護職はどうなのか?通勤を継続して良いのか?について、首都圏の訪問看護ステーションのみなさんは現時点でも判断に迷うことがあるかと思います。と言ってもそもそも訪問看護師や、訪問ヘルパーなど居宅系サービスが断絶すると生活できない・生命にも関わる利用者も少なくありません。我々自身、在宅ケアも病院と変わらずインフラとして従事し続けることが必須だと自負していますが、在宅ケア領域についてどうすべし、との指針は現在なく、僕自身もウィルにおいてはっきり判断つけるのに迷い調べてもわらなかったので、問い合わせした結果を知見としてシェアしたいと思います。

 

緊急事態宣言時に、訪問看護師は通勤(外出)の規制は受けない

知人を通じて、衆議院内閣調査室から回答を得ました。なお本件公表についても承諾を得ています。

 

(国政に関わる方みなさん大変お忙しい中であることは分かった上で、恐縮ながらの相談でしたが、すぐに確認と返答をくださり感謝深謝です) 

 

以下が内容ですが、つまり「通勤OK、訪問OK、むしろ地域医療資源として活動が必要だろう」ということです。

 


仮に今後、新型インフル特措法に基づく「緊急事態宣言」が出された場合も医療従事者等が在宅への訪問診療・訪問看護等についてはなんら規制を受けません。
「緊急事態宣言」というと、街中で警官が見張っていたり、出歩いていていると職質されたり、、的イメージが先行しますが、基本的には現在、関東近県を中心とした自治体が発出している、外出の自粛要請と変わらず、罰則や法的強制力はありません。
むしろ1点だけ、社会福祉施設については入所者以外で通所リハやショートステイなどは制限される可能性はありますが、訪問看護については今後万が一パンデミックが起きた際のと要援護者への支援など、ご協力をお願いしたいところです。


  

当該法案の条文の該当部分

病院に限らず地域医療・在宅ケア領域においても、私たち従事者自身が医療福祉の危機的状況において最重要な人的資源であるのは変わりないことを確認しました。自らが感染源にならぬよう感染予防を十全に行うことは大前提です。一方、そのための資材が特に医療機関とは厳密に違う独立型系の訪問看護ステーションでは手に入らなくなってきています(サージカルマスク、ディスポーザブル手袋など)。各位におかれましては、全国・各都道府県看護協会や、都道府県訪問看護ステーション協会・連絡会、自治体医師会、訪問看護財団、全国訪問看護事業協会などが連携し、調達に動かれているかと思いますので、各種協会会員向け情報を随時確認し近隣ステーションと情報共有を密にしていくことが求められます。これらの協会に加入していない事業所もあると思いますが、これを機に加入されると危機時の情報が手に入りやすくなるかと思います。

 


<参照および該当部分>
新型インフルエンザ等対策特別措置法-第45条-2.第11条-2
逐条解説 新型インフルエンザ等対策特別措置法(著者:新型インフルエンザ等対策研究会=編集 発行:中央法規出版)-P158.P160.P164.165
新型インフルエンザ等対策政府行動計画等 平成25年6月7日 平成29年9月12日(変更)-(6)-3.(6)-3-8
一般社団法人東京都訪問看護ステーション協会 | 協会のご案内


 

参考:ウィルの方針、ステーションとしての対策

以下はもし参考になればと思い、私たちが行なっていることを共有しておきます。

 

【ウィルの方針】

・ゴールは、「感染しないさせない。しかし感染を0には出来ない可能性が高いためもし感染しても広げない」「倒産させずスタッフの生活困窮をさせずにウィルとして乗り切る」「利用者の生活を守る」の3つを各チームへ明示しています。

 

【現状の対応】

・現時点では、原則的に出勤継続。直行直帰する、事務所への集合は極力しない、自宅作業をすること。

・各利用者と、今後の訪問の意思について確認をする。事実に基づき「行政情報より医療関係は自粛要請の範囲外であり、活動継続が基本」「感染対策を行なっている」ことを踏まえ、利用者や家族と今後どうするか訪問の意思を訪問時や電話などで順次確認をしていく。

・毎朝の検温を。37.5℃以上の場合もしくは風邪症状がある場合はおやすみを。4日間発熱があるなら受診の必要有無をガイドライン通りに確認を。その場合の濃厚接触者の特定も。

・訪問前後の手洗い・手指消毒、マスクの着用徹底を。マスクはサージカルマスクが調達できるまでは布マスクを利用。

 

これらの情報はウィルの各事業所やオンラインコミュニティ内で共有され、内容によっては議論もされています。

 

訪問をしている中で、利用者や家族から不安な声あるいは相談、もしかすると看護師がウィルスを持ち込むんじゃないか、といったことを言われることがあるかもしれません。現状の説明や、利用者家族が感染予防行動獲得の支援をするためにウィル訪問看護ステーション豊見城(沖縄県)で作成されすぐにウィル全体およびオンラインコミュニティに共有され活用された資料を、ここでも公開しておきます。もし何かの参考になれば幸いです。

 

今後、陽性者や疑いのある方への訪問看護をしていく場合

日本中で感染症対応の病床数を増やしていくにあたり、入院中の方が早めに在宅に戻ってこられることが各地で増えることが考えられます。いわゆる飛び込みの依頼が地域で増え、手分けして受け皿となっていかねばならないことも出てくるでしょう。 

 


むしろ1点だけ、社会福祉施設については入所者以外で通所リハやショートステイなどは制限される可能性はありますが、訪問看護については今後万が一パンデミックが起きた際のと要援護者への支援など、ご協力をお願いしたいところです。

 

さらに、上記は問い合わせ回答についての後半部分の再掲です。

 

在宅ケアを受けている方で症状出現や陽性反応がでることが考えられます。さらには、感染がわかり、自宅療養をしている方への新たな訪問看護の依頼も少しづつ出ているようです。その際には病院など医療機関の診療ガイドに則った対応が現時点で参考になる対応だと思います。

 


医療機関における COVID-19 の疑いがある人や COVID-19 患者の診療時の感染予防策COVID-19 患者(確定例)、疑似症患者、濃厚接触者のうち何らかの症状を有する者を診察する場合
Ⅰ 標準予防策に加え、接触、飛沫予防策を行う
Ⅱ 診察室および入院病床は個室が望ましい
Ⅲ 診察室および入院病床は陰圧室である必要はないが、十分換気する
Ⅳ 1)上気道の検体採取を実施する場合(鼻咽頭ぬぐい液採取等) サージカルマスク、眼の防護具(ゴーグルまたはフェイスシールド)、長袖ガウン(不足の場合はエプロン可)、手袋を装着する
2)エアロゾルが発生する可能性のある手技(気道吸引、気管内挿管、下気道検体採取等)N95 マスク(または DS2 など、それに準ずるマスク)、眼の防護具(ゴーグルまたはフェイスシールド)、長袖ガウン、手袋を装着する


 


自宅等での感染予防策
・「濃厚接触者」については、健康観察期間中において、咳エチケットと手洗いを徹底するように保健所が指導し、常に健康状態に注意を払うように伝える。不要不急の外出はできる限り控え、やむをえず移動する際にも、公共交通機関の利用は避けることをお願いする。
・外出時や同居者等と接触する際のサージカルマスク着用と手指衛生などの感染予防策を指導する。
・濃厚接触者と同居している者にはサージカルマスクの着用および手指衛生を遵守するように伝える。
・濃厚接触者が着用しているマスクについて、一度着用したものは、食卓などに放置せず廃棄するようにする。また、マスクを触った後は、必ず手指衛生をすることを指導する。
・濃厚接触者が発熱または呼吸器症状を呈し医療機関を受診する際には、保健所に連絡の上、受診を勧められた医療機関を受診する。
・廃棄物処理、リネン類、衣類等の洗濯は通常通りで良い。


 


引用:新型コロナウイルス感染症に対する感染管理,改訂 2020 年 3 月 19 日 ,国立感染症研究所,国立国際医療研究センター 国際感染症センター 

 

診察環境の基準に則るか家庭環境での対応に則るかは物資調達の兼ね合いもあり難しいところですが、前者の対応をする場合、自宅の前でガウンやゴーグルの装着をして入室することとなり、近隣の方へ誤解や差別を生んだり、ご本人やご家族の尊厳を傷つける可能性もあることを踏まえ、事前によく話し合って対応を決める必要が考えらえます。どちらの対応も可能にするには、マスクや手袋だけでなく、ディスポーザブルガウン、フェイスシールドなどを備蓄しておくことも必要でしょう。

 

事業所の運営リスク

訪問看護ステーションでは5名程度の小さい事業所が全国の半数を占め、運営継続のリスクに晒されてもいます。地域医療のインフラとしてそれが崩壊することは今後の地域ケアにおいて望ましくありません。資金繰りなどについての関連省庁・各都道府県・自治体・公庫の緊急融資の情報も随時確認・相談をしていくことが乗り越えるために必要でしょう。全国の看護師経営者・管理者のみなさま、踏ん張りどころです。

 

  

最後になりますが、在宅医療含め、医療介護のサービスを止めないこと、そして何より私たち自身の身も守ることが重要です。そしてこれらの内容については、訪問看護師だけでなく、医師や薬剤師、ケアマネジャー、ヘルパー、栄養士、歯科医など居宅系の在宅ケアに従事する皆様にとっては共通したトピックとして参考までにシェアできますと幸いです。

  

※これは現時点での確認情報であり、状況により変わる可能性があります。

  

※疑義については確認もしていきます。また間違っていることや訂正・修正点があればご忌憚なく教えてください。

 

ウィル訪問看護ステーション

岩本 大希

WyL株式会社 ウィル訪問看護ステーション

住所:東京都江戸川区中央4-11ー8
   アルカディア親水公園ビル地下1階(ウィル訪問看護ステーション江戸川)

TEL:03-5678-6522(ウィル訪問看護ステーション江戸川)

URL:https://www.wyl.co.jp/

看取り、がん、難病、生活保護、認知症独居、小児、精神など、困難なケースも含めて誠心誠意対応している24時間・365日対応の訪問看護ステーション。東京都江戸川区と江東区で事業所を運営するほか、いわゆるフランチャイズ展開にも力を入れており、沖縄県と岩手県にものれん分けした事業所が存在する。

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