2026.01.22
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新型コロナ(COVID-19)におけるカロナール®適正使用ガイド。患者指導のポイントと服薬指導のリスクマネジメント【管理薬剤師向け】

すぐに活かせる!服薬指導の品質を高める実務ヒント

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☞この記事でわかること

  • COVID-19にカロナール(アセトアミノフェン)を使う理由
  • アセトアミノフェンの服薬指導とリスクマネジメントの徹底|管理薬剤師向け
  • カロナール®(アセトアミノフェン)製剤の基礎知識

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1.COVID-19にカロナール(アセトアミノフェン)を使う理由

薬剤師として患者に説明する際、「決まっているから」ではなく、背景にある医学的根拠と安全性のバランスを正しく伝える必要があります。

 

 

1-1. 厚生労働省やガイドラインでは「解熱鎮痛薬を必要に応じて使う」

現在、「COVID-19診療の手引き」では、新型コロナウイルス感染症の診療において、軽症例に対する薬物療法は基本的に対症療法であり、解熱鎮痛薬を必要に応じて使用するとしています。

また、厚生労働省はホームページ「新型コロナウイルス最前線」において、熱を下げるための市販薬として、アセトアミノフェン製剤や非ステロイド性抗炎症薬(イブプロフェンやロキソプロフェン)を紹介しています。

 

つまり、決して「アセトアミノフェンでなければならない(NSAIDsは不可)」と明記されているわけではありません。

 

ここで、NSAIDs(ロキソプロフェンなど)とアセトアミノフェンの作用機序を再確認しておきましょう。

NSAIDsは、全身のシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害することで強力な抗炎症・鎮痛作用を示します。

しかし、同時に胃粘膜保護や腎血流量維持に関わるプロスタグランジンも抑制してしまうため、胃障害や腎障害が起こりやすくなるのが特徴です。

 

一方、アセトアミノフェンは主に脳(中枢神経)にある体温調節中枢や痛覚閾値に作用すると考えられています。

末梢組織でのCOX阻害作用は非常に弱いため、胃粘膜や腎臓への影響が少なく、インフルエンザなどのウイルス性疾患時や、脱水気味の患者高齢者に対しても比較的安全に使用できます。

 

  

1-2. 他の解熱鎮痛薬(NSAIDs)との比較と現在の見解

流行初期には「イブプロフェンなどのNSAIDsがCOVID-19を増悪させるのではないか」という懸念が世界的に議論されました。

現在では、「新型コロナウイルス感染症診療の手引き第10.1版」においても、外来診療において増悪リスクは否定されており、NSAIDsの使用自体は禁忌ではありません。

また、2023年の韓国で行われた研究で、アセトアミノフェンもNSAIDsもどちらも安全に使用できることが報告されました。

 

しかし、現場での判断は、アセトアミノフェンより安全な第一選択薬と考えるのが一般的です。

これは、消化器系副作用や高齢者における腎機能への影響、インフルエンザ合併時のライ症候群リスク(小児)、脱水時のNSAIDsによる急性腎障害(AKI)のリスクを考慮した結果です。

アセトアミノフェンの身体への負担の少なさは、ウイルス感染症で体力が低下し、食事摂取が不十分になりがちな患者にとって、重要な選択肢になっています。

 

  

1-3. 薬剤師が持つべき視点

私たち薬剤師は、コロナだから一律にカロナールと判断するのではなく、「患者背景を考慮したトリアージの結果、最も安心して使用できる選択肢である」として説明する必要があります。

 

  • 高齢者・腎機能低下者:NSAIDsによる腎血流量低下リスクを回避するため。
  • 小児:インフルエンザ合併時の脳症・ライ症候群リスクを回避するため。
  • 喘息患者:悪化させるリスクを回避するため。
  • 妊婦:胎児動脈管収縮リスク(特に妊娠後期)を回避するため。
  • 消化性潰瘍既往:胃粘膜障害リスクを回避するため。

 

上記のように、「あなた(患者)の体の状態にとって、最もリスクが少なく安全に熱を下げられる薬だから選ばれている」という納得できる説明が、アドヒアランス向上につながります。

 

専門家として忘れてはならないのが、アスピリン喘息(NSAIDs過敏喘息)患者への対応です。

一般にアセトアミノフェンは安全とされていますが、米国のアスピリン喘息患者において1,000〜1,500mg/回負荷で 34%が呼吸機能低下を示したという報告があります。

そのため、欧米では500mg/回、日本人では 300mg/回以下が推奨されています。

重篤な喘息既往がある患者に対しては、「カロナールなら大丈夫」と即断せず、過去の安全な使用歴を確認するなど、慎重に判断するようにしましょう。

 

 

2.カロナールとコロナに関するよくある質問

カロナールとコロナに関するよくある質問

 

現場でスタッフが回答に困ったり、個人の経験で答えてしまったりしがちな4つの質問について、添付文書に基づいた回答を整理します。

  

 

2-1. Q1. カロナールは何度以上の熱で飲むべきですか?

適応は、急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)の解熱であり、添付文書に「38.5℃以上」といった具体的な体温の数値基準の記載はありません。

熱があっても比較的元気であれば、無理に飲む必要はなく、

高熱で水分補給や食事が困難、または睡眠が妨げられる場合は、体力消耗を防ぐために使用を推奨します。

 

【指導例】

38℃でも我慢できないほどつらければ飲んでください。

逆に39℃あっても、比較的元気なら急いで飲む必要はありません。ご自身のつらさを基準にしてください。

 

  

2-2. Q2. コロナは薬を飲まなくても治るのか?

こういった質問では、原因療法と対症療法の違い、免疫システムと体力の関係を説明します。

 

【指導例】

はい。コロナウイルスを最終的に退治するのは、自身の体が持つ免疫システム(防御反応)です。

カロナールはウイルスを消す薬ではなく、戦っている間の熱や痛みを和らげる薬です。

薬で症状を抑え、しっかり寝て、水分や栄養を摂りやすくして体力を保つのが、コロナを治す近道になります。

 

  

2-3. Q3. カロナールを飲んではいけない時(禁忌・慎重投与)は?

絶対的な禁忌(過敏症既往、重篤な肝障害)に加え、特定の患者に対して注意を促します。

 

【指導例】

以前にこの薬でアレルギーが出たことがある方や、重い肝臓の病気がある方は飲めません。

また、特に注意が必要なのがお酒と食事です。アルコールは肝臓への負担を増やすので、服用中は控えてください。

そして、高熱で食事が全く喉を通らない(絶食状態)時は、肝臓の解毒機能が低下して副作用が出やすくなるため、あらかじめ医師や薬剤師に相談が必要です。

 

若い世代の患者からは「妊娠中(または授乳中)ですが飲んでも大丈夫ですか?」という質問も多く寄せられます。

アセトアミノフェンは、国立成育医療研究センターの「妊娠と薬情報センター」などの資料においても、妊娠全期間を通じて使用可能な解熱鎮痛薬とされています(NSAIDsは特に妊娠後期の使用が禁忌)。

また、母乳への移行量も極めて少ないため、授乳中の服用も問題ないとされている薬です。

「お母さんが熱を出してつらいままだと、赤ちゃんのお世話も大変ですよね。赤ちゃんへの影響が少ないとされているので、飲んで、早く体を休めてください」と、労わりの言葉を添えて指導しましょう。

 

  

2-4. Q4. 病院でもらったカロナールと市販のカロナールの違いは何ですか?

成分は同じアセトアミノフェンですが、規格と自己判断のリスクが異なります

また、市販の総合感冒薬(ルルなど)にもアセトアミノフェンが含まれていることを併せて説明します。

 

以下の表に、医療用医薬品と一般用医薬品のカロナールについて、まとめました。

医療用医薬品アセトアミノフェンと一般用医薬品アセトアミノフェンの比較
医療用医薬品アセトアミノフェン 一般用医薬品アセトアミノフェン
剤型 錠剤・細粒・シロップ・坐剤 錠剤・チュアブル錠・坐剤
対象年齢 成人・小児(3か月以上) 成人・小児(1歳以上)
用法・用量 投与間隔は4〜6時間以上 1日3回まで(間隔4時間以上)
効能・効果
  • 各種疾患及び症状における鎮痛
  • 急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)の解熱・鎮痛
  • 小児科領域における解熱・鎮痛
  • 頭痛・歯痛・抜歯後の疼痛・咽喉痛・耳痛・関節痛・神経痛・腰痛・筋肉痛・肩こり痛・打撲痛・骨折痛・ねんざ痛・月経痛(生理痛)・外傷痛の鎮痛
  • 悪寒・発熱時の解熱
特徴
  • 量の調節が可能
  • 剤形が豊富
  • 薬局で購入可能
  • 服用量や対象年齢が限定

【指導例】

成分は同じアセトアミノフェンですが、1錠に入っている量が異なることがあります。

病院では症状に合わせて量を調整しますが、市販薬は安全のために量が少なめに設定されていることもあります。

最も大きな違いは、「自己判断で使うかどうか」です。市販の風邪薬には、アセトアミノフェン以外にも色々な成分が含まれていることが多いため、飲み合わせには十分、注意しましょう。 

 

  

3.アセトアミノフェンの服薬指導とリスクマネジメントの徹底|管理薬剤師向け  

カロナールは安全性が高いとされる反面、治療域が比較的狭い薬であり、常用量でも肝障害の副作用が起こる場合があります。ヒヤリ・ハット事例をもとに、薬局全体で取り組むべきリスク管理を考察しましょう。

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