2026.01.13
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ロキソニンに胃薬は必須?管理薬剤師が押さえるべきNSAIDsと胃薬併用の判断基準と患者指導

すぐに活かせる!服薬指導の品質を高める実務ヒント

ロキソニン(ロキソプロフェン)に胃薬というセット処方はよく見かける処方の一つですが、管理薬剤師として、セット処方にエビデンスに基づいた判断軸を持っていますか。医療用医薬品ばかりでなく、市販薬(OTC)購入者への指導、若手薬剤師への教育、医師への疑義照会など、管理職が日々の業務でこの問題に直面するシーンは多岐に及びます。ロキソニンと胃薬のなんとなく併用を脱却し、患者個々のリスクに応じた最適な服薬指導や処方監査を実践するためにエビデンスを学びましょう。

すぐに活かせる!服役指導の品質を高める実務ヒント

 

   

☞この記事でわかること

  • ロキソニンと胃薬がセットで考えられる理由
  • 「ロキソニンに胃薬はいらない」についての根拠
  • NSAIDsに処方される胃薬の種類と最適解

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1.ロキソニンと胃薬がセットで考えられる理由

1.ロキソニンと胃薬がセットで考えられる理由

ロキソプロフェンは、体内で代謝されて活性体に変化するプロドラッグです。

そのため、胃粘膜への直接的な刺激は、他のNSAIDsに比べて比較的マイルドであるとされています。

 

NSAIDs の主作用は、シクロオキシゲナーゼ(COX)の阻害によるプロスタグランジン(PG)生合成の抑制です。

炎症や痛みに関与するのは主にCOX-2ですが、ロキソニン胃粘膜保護や血流維持など臓器恒常性維持に必要なCOX-1も阻害してしまいます。

 

つまり、プロドラッグ化により直接刺激は軽減されても、血液中から作用する全身作用(PG産生抑制)による胃粘膜防御能の低下は避けられないのです。副作用防止のために、医師の判断により、多くの症例で胃薬をセット処方しますが、全症例で必須というわけではありません。

 

一方、OTC薬の「ロキソニン®Sプラス」「ロキソニン®Sプレミアム」には、制酸・胃粘膜保護成分(酸化マグネシウムやメタケイ酸アルミン酸マグネシウム)が配合されています。

胃への負担を心配する患者に対しては、胃薬成分配合の製品を推奨するのが一つの適切な組み合わせとなります。

 

 

2.「ロキソニンに胃薬はいらない」は本当か |エビデンス

2.「ロキソニンに胃薬はいらない」は本当か |エビデンス

 

「ロキソニンを飲むときは必ず胃薬も飲まないといけないのか?」という疑問に対し、エビデンスを示しながら解説します。

 

 

2-1. 全例必須ではない。重要なのは患者個々のリスク評価

結論から言えば、ロキソニン服用時に胃薬全例必須ではありません。

大切なのは、患者がNSAIDs潰瘍の高リスク群低リスク群かを見極めることです。

 

  

2-2. NSAIDs潰瘍のリスク因子

NSAIDsの服用によって引き起こされる消化管粘膜障害や潰瘍は「NSAIDs潰瘍」と呼ばれており、発症にはいくつかのリスク因子が知られています。「消化性潰瘍診療ガイドライン2020」や厚生労働省のマニュアルなどでは、以下の因子を持つ患者をハイリスク群としています。

 

【NSAIDs潰瘍の主なリスク因子】

  • 消化性潰瘍の既往歴
  • 65歳以上の高齢者
  • 副腎皮質ステロイド薬の併用
  • 高用量または長期間のNSAIDs投与
  • 抗凝固薬・抗血小板薬(アスピリンなど)の併用
  • ヘリコバクター・ピロリ感染
  • 重篤な全身疾患
  • ビスホスホネートの併用

  

リスク因子に該当しない若年者や、短期間(数回程度)の頓服使用であれば、必ずしも胃薬は必要ありません。

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