2022.02.09
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採用に苦戦する病院の典型的パターン
――(2)応募者に寄り添う広報・面接ができていない

ケースから学び看護師採用の勝ち組になる! vol.7

ケースから学び看護師採用の勝ち組になる! vol.7

 

編集部より

思ったように看護師を集めることができず、頭を悩ませている病院は少なくないでしょう。より効率的に、より確実に、より自院にマッチした人材を集めるためには、どんな取り組みが必要なのでしょうか。本シリーズでは、医療業界の採用に長年携わってきた株式会社ITA取締役副社長の吉本賢次氏に、実例を踏まえた看護師採用のポイントを語っていただきます。第7回は、広報活動や採用面接で応募者の心をわしづかみにする方法について考えていきます。

 

取材・文/中澤 仁美(ナレッジリング)

撮影/和知 明(株式会社BrightEN photo)

編集/メディカルサポネット編集部

 

 

費用対効果の分析、できていますか?

 

広報活動を振り返る上で注目したいのが、費用対効果に優れた取り組みができているかということ。病院の使命や規模、採用数の実績などを踏まえ、何にどれだけ予算を割くか熟考することが大切ですが、これができている病院は意外と少ないのが実情です。例えば、新卒看護師の就職フェアは各地域の看護学生に自院を知ってもらう貴重な機会であり、病院関係者としても充実感を得やすい活動の1つです。しかし、そこで何人を採用できたか分析してみると、「あれ?」ということも多いのではないでしょうか。

 

私が以前にコンサルティングした250床のローカル病院は、全国各地の就職フェアへ頻繫に参加していました。しかし、その費用が年間1200万円に上る一方、それで採用できている看護師は10人にも満たず、1人当たり100万円以上かかっていることが判明したのです。もちろん就職フェアへの参加は有用ですが、「無駄打ち」しては予算が溶けていくばかり。「去年1人採用できたから……」といった理由だけで参加を決めるのは(気持ちは分かりますが)偶然性に頼りすぎだといえるでしょう。

 

 

 

 

そこで私は、採用が現実的なエリアに絞り(採用サイトへのアクセスが多い地域など)、来場者数が多く出展数が少なめな就職フェア(つまり、自院に注目してもらいやすい)にのみ参加するよう提案しました。すると、費用は半減したにもかかわらず、採用数は微増したのです。読者の皆さんも、それぞれのフェアで何人に自院を知ってもらえたか、そこから何人を採用できたかを確認してみるといいと思います。

 

必要以上に費用をかけてしまいがちという意味では、紙のパンフレットも要注意です。分厚く立派なパンフレットを作成するのは、病院としても満足感が大きいもの。とはいえ、明確な意図や狙いがあれば別として、自己満足で終わってしまっているなら問題でしょう。現代においては、病院のパンフレットは「ウェブサイトに誘導するためのツール」としての役割が大きいといえます。情報の更新性が乏しいことを考えても、ここに過分な予算を割くのは得策ではありません。個人的には、A3サイズの用紙を3折りにした程度の、あっさりしたもので十分だと感じています。

 

 

 

驚くほど短い採用サイトの滞在時間

 

それでは、広報活動で最も重点的にケアすべき部分は何でしょうか。それは、スマートフォン向けの採用サイト。当社のクライアントに対する全アクセスを分析すると、70%以上がスマートフォン経由であることが分かっています。情報を盛り込みすぎると見づらくなるので、募集要項や先輩の声といった注目度が高いコンテンツに絞るといいでしょう。そこからPC版の採用サイトに飛んでもらうなどして、問い合わせやエントリーにつなげることが主な目的です。どんな世代の人にも見やすく、好き嫌いが分かれないようなデザインで、医療機関らしい品位があるものに仕上げたいところです。

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