2021.05.24
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令和3年度介護報酬改定の検証【医療系サービス】

介護経営コンサルタント小濱道博の先手必勝の介護経営 vol.8

 

編集部より

今、介護事業所の経営には、「新型コロナウイルス感染症への対応」と「制度改正を見据えた長期的な戦略」という2軸が求められています。先が見通しにくい時代に、介護経営支援に携わってきた小濱介護経営事務所の代表、小濱道博さんが「先手必勝の介護経営」と題して、1歩先行く経営のヒントを1年間にわたってお伝えします。介護報酬改定後の最初の国保連請求を終え、今後の対応への足掛かりをつかんだ経営者の皆さまも多いことと思います。第8回は、今回の介護報酬改定の検証を、医療系サービスの視点から4つに分けて解説いただきました。

 

1.事業者間の収入格差が拡がり、2極化が拡大する

 

1月18日の社会保障審議会介護給付費分科会で令和3年度介護報酬単位が答申された。今回の改定率は0.7%のプラス改定であるが、そのうちの0.05%は、コロナ対策での特例措置であるので、実質的な改定率は0.65%のプラスということになる。コロナ対策の特例措置は今年4月から9月までの半年間の限定措置であり、半年間、全サービスの基本報酬が0.1%上乗せされる。予想していたとはいえ、基本報酬の上げ幅は小さい。平成30年10月消費税が増税された時と同程度のプラスと言える。

 

訪問介護や訪問看護は1単位の上乗せである。通所リハビリテーション、介護保健施設などは7単位から数十単位のアップであるが、これも一概には喜べない。通所リハビリテーションでは、リハビリテーションマネジメント加算が基本報酬に包括されたために、基本報酬単位が増額になっているに過ぎない。介護施設でも、栄養マネジメント加算が基本報酬に包括された分がプラスとなったに過ぎない。

 

 出展:令和3年度介護報酬改定の主な事項について

 

 

2.医療系介護保険施設の動向

 

介護療養病床の廃止が令和5年度末に迫った。今後、介護療養病床が6ヶ月毎に指定権者に移行計画を報告することが義務化される。期日までに報告しなかった場合、半年間の介護報酬が移行計画未提出減算として10%減額されることになる。介護医療院は、療養病床に1年以上入院していた利用者を受け入れた場合、90日間で長期療養生活移行加算60単位/日が算定出来る。

 

 

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