2021.11.18
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始まった認定薬局制度
地域の「基幹薬局」としての期待

~改正薬機法施行から3カ月、今後の薬局のあり方を考える~

改正薬機法 薬局 地域 かかりつけ メディカルサポネット

 

 

編集部より

改正薬機法の施行から3カ月。認定薬局制度の導入と服薬フォローの義務化が始まりましたが、皆さんの薬局ではどのように進めているでしょうか?「2025年、すべての薬局は地域へ」の目標に向かって動き出したわけですが、キーワードは「かかりつけ」。地域包括ケアシステムの中で薬局がどのような役割を果たしていけばいいのか、薬局の動向をはじめ医療政策に詳しい、HCナレッジ合同会社代表社員の山口 聡さんに解説いただきます。

 

執筆/山口 聡(HCナレッジ合同会社)

編集/メディカルサポネット編集部

 

 

「患者のための薬局ビジョン」を改めて読み返す 
 調剤薬局から薬局へ、表現が変わったことの意味

 

2035年、すべての薬局は地域へ。
そして、2025年にはすべての薬局をかかりつけに。
対物業務から対人業務へ。

 

 

2015年に公表された「患者のための薬局ビジョン(以降、薬局ビジョン)」にはこのような記載があります(図表1)

 

 

改正薬機法 薬局 地域 かかりつけ メディカルサポネット 患者のための薬局ビジョン

 

 

薬局ビジョンが公表されて以降、調剤報酬改定ではかかりつけ薬剤師やかかりつけ薬局を意味する地域支援体制加算の新設、さらに薬機法改正を通じての認定薬局制度の導入と服薬フォローの義務化(図表2)と、まずは「2025年にはすべての薬局はかかりつけに」という中間ゴールを達成すべく取り組みが進んでいます。

 

改正薬機法 薬局 地域 かかりつけ メディカルサポネット 厚生労働省

  

奇しくも2020~2021年にかけてはCOVID-19感染拡大の影響で受診控えが続き、オンライン診療や在宅医療が広く普及しましたが、もともとそれは2035年の社会をイメージした在り方だったのかもしれません。

 

医療機関だけでなく、患者の自宅や施設も診療の場となった今、薬局も自宅や施設の近くである方が合理的です。まずは薬局が患者にとって距離的に身近な存在となり、そこから発展して医薬品の情報提供や医療相談にのるといった対人業務、いわゆるかかりつけ機能が求められていくことになります。

  

実は薬局ビジョンが公表されて以降、意図的なのかわかりませんが「調剤薬局」という表現が減り「薬局」と表現されることが増えていることに皆さんはお気付きでしょうか。

 

「調剤」とは・・・処方せんに基づき医薬品をそろえて交付する対物業務
「薬局」とは・・薬剤師のいる場であり医薬品に関する情報を提供し、時には相談にも乗る場であり、対人業務を表すものともいえる

 

 

こうした表現の違いからも、薬局及び薬剤師に何を期待しているのか、読み取ることができます。

 

重要なことは、なぜ新しい制度ができたのかその背景を知り、素直に受け入れ、できるところから対応していくことだといえます。そうした観点で、認定薬局制度(図表3)について考えてみましょう。

   

改正薬機法 薬局 地域 かかりつけ メディカルサポネット 機能別薬局制度

 

 

 

地域包括ケアシステムの基幹薬局
 薬剤師1人ひとりに求められるのは相手視点の「情報伝達力」

 

よく耳にする地域包括ケアシステムは以下のように説明されています。

 

地域の実情に応じて、高齢者が、可能な限り、住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した生活を送ることができるよう、医療、介護、介護予防、住まい及び自立した日常生活の支援が包括的に確保される体制
(社会保障制度改革プログラム法・地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律)

 

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