医療現場で認識されているLGBT患者は少ない!?
LGBTとは、Lesbian(レズビアン/性自認が女性で恋愛対象も女性)、Gay(ゲイ/性自認が男性で恋愛対象も男性)、Bisexual(バイセクシャル/恋愛対象が女性にも男性にも向いている)、Transgender(トランスジェンダー/出生時に割り当てられた性別と性自認が一致しない。あるいはどちらの性別にも違和を感じる)の頭文字を取った性的少数者を表す言葉です。
近年、LGBT当事者であることをオープンにして生活している人や、パートナーシップ制度を導入する自治体が増えています。しかし、石川県立看護大学の三部倫子講師が2019年に看護部長約900人を対象に行った調査「LGBTの患者対応についての看護部長アンケート」では、「LGBT患者の入院はない」「患者は高齢者が多いためあまり気にしたことがない」といった意見が見られました。
「LGBT調査2018」によるとLGBT層の該当者は8.9%ですが、医療現場で認識されているLGBT層の数はもっと少ない可能性があります。その理由の一つとして、精神疾患や発達障害、依存症などの複合的な問題を抱えるLGBTQ当事者をサポートする自助グループ「カラフル@はーと」の共同代表で看護師、トランスジェンダーの浅沼智也さんは、「医療機関を受診することに、ハードルの高さを感じているLGBTの人は多い」と指摘します。
浅沼智也(あさぬま・ともや)
1989年生まれ。トランス男性(FtM/身体的には女性だが性の自己認識は男性)。女子短期大学の看護専攻で学び、卒業後は大学病院に勤務。23歳で性別適合手術を受ける。現在も看護師として働きながらLGBTQ当事者の自助グループ『カラフル@はーと』の共同代表として活動を行う。LGBT患者への院内対応マニュアルの作成や医療従事者の相談にも応じている。