2022.01.05
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「夜間オンコール代行」でかなえた特養スタッフの意識改革

【医療テックPlus】第17回 夜間オンコール代行サービス(ドクターメイト株式会社)

【 医療テックPlus+】第6回 「腰用パワードウェア『ATOUN MODEL Y』」 株式会社ATOUN

 

 

編集部より

看護師の労働実態などを調べた「看護師白書2020年度版」(マイナビ)では、転職活動で重視する条件として「勤務時間・勤務体系(交替制度・オンコール回数など)」を挙げた看護師は64.7%に上りました。オンコールの有無や頻度が看護師採用に少なからず影響することが分かります。こうした事情もあり、近年ではオンコールを外部委託する介護施設が増えています。2021年にドクターメイト社の夜間オンコール代行サービスを導入した特別養護老人ホームけいあいの郷影取(神奈川県横浜市)を取材し、サービス導入により現場の看護師や介護職の皆さんにどのような変化があったのか伺いました。

 

取材・文/中澤 仁美(ナレッジリング)

撮影/穴沢 拓也(株式会社BrightEN photo)

編集/メディカルサポネット編集部

 

「夜間オンコール代行」でかなえた特養スタッフの意識改革

 

【お話を伺った方】

石川朝彦さん(施設長)/写真右

2009年、社会福祉法人敬愛に入職。けいあいの郷緑園で生活相談員を務めた後、けいあいの郷影取へ異動し、現在に至る。横浜市多業種交流会「浜CHAN」の活動にも参加している。

 

村瀬淑恵さん(看護師)/写真左

聖マリアンナ医科大学看護専門学校卒業。聖マリアンナ医科大学病院で5年間勤務した後、宮城県で訪問看護師などとして活躍。神奈川県に戻って介護老人保健施設などで勤務後、けいあいの郷影取へ入職。

 

<夜間オンコール代行サービス概要>

介護事業所の課題である夜間オンコール対応について、全国のドクターメイト提携看護師が代行。施設スタッフから受けた相談内容について、電話でのアドバイスだけでなく、合わせてレポートにもまとめて提出することで、施設内に教育ツールとしてもナレッジが貯まる。サービス導入によって施設の医療体制がさらに充実し、通院数、入院数の減少や看護師採用にも有利に働くほか、属人化している業務を仕組み化して安定した施設運営が可能になる。

 
「夜間オンコール代行」でかなえた特養スタッフの意識改革

 

毎晩のように頻回のオンコール、その実態は……

     

    ――まずは、貴施設が夜間オンコール代行サービスを導入したきっかけを教えてください。

     

    石川:けいあいの郷影取には5人の看護師がいたのですが、そのうち3人が2021年度中に退職することになりました。毎晩のオンコールを残り2人の看護師に担ってもらうのは負担が大きすぎるので、これまで「日中医療相談サービス」でお世話になっていたドクターメイト社に相談し、夜間オンコールも委託させてもらうことにしたのです。

     

    とはいえ、看護師の退職はあくまでも1つのきっかけに過ぎず、オンコールの外部委託は常々検討していたことでした。というのも、介護職の報告スキルに課題があり、そのレベルアップの機会になると感じていたからです。

     

     

    「夜間オンコール代行」でかなえた特養スタッフの意識改革

     

     

    これまで、当施設では毎晩のように介護職から看護師への連絡があり、多いときには一晩で5件に上ることもありました。その中には「○○さんが下剤を飲み忘れたのですが……」といった明らかに翌日対応で問題ないものも含まれていました。また、心配事があるとすぐに電話をして、看護師に質問されてから必要な情報を集めるケースが多く、この点も看護師の負担増につながっていました。こうした状況を変えるためには、外部委託により現場に良い意味での緊張感を与えること、そして適切な報連相のやり方を知る機会を用意することが必要だと考えたのです。

     

    村瀬:そうした施設長の判断は、看護師にとってありがたいものでした。私自身、「オンコールあり」の施設での経験が長いのですが、それでもたった2人で対応するのは困難です。「毎月15日間も夜間オンコールを担当するのかしら?」という不安が、外部委託によって払拭されました。

     

    また、介護職のスキルアップという観点も大切だと思います。例えば、「○○さんが発熱しています!」と連絡があっても、状況説明やバイタルサインなど必要な情報が抜けていると、こちらから「〇〇を測定してください」と言わなければならないし、あらためてその報告を受ける必要があります。そうしたやり取りが続くと目が冴えて、眠れないまま翌日出勤するようなことにもなってしまいます。

     

     

    「夜間オンコール代行」でかなえた特養スタッフの意識改革

     

     

    ――夜間オンコールを外部委託することに不安はありませんでしたか。

     

    石川当法人が運営する系列施設(けいあいの郷緑園)では、すでに数年前から夜間オン

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