2025.10.07
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vol.1 PT・OT・STが退職・転職活動を決意する理由とは?

5分で読めるポイント解説 PTOTST白書2025

『PTOTST白書2025年度版』~「労働実態」「就労・転職志向」とは?~

編集部より

医療や介護の現場では、PT(理学療法士)、OT(作業療法士)、ST(言語聴覚士)の存在がとても重要です。

ところが今、多くの現場でこれらの専門職の人材が足りていないのが現実です。

 

そこで今回は、『PTOTST白書2025年度版』の調査結果から、PT・OT・STの転職や働き方の傾向をピックアップしてご紹介します。

「どんな環境なら今の仕事を続けたいと思うのか」「転職のときに大事にしていることは何か」

──その本音を知ることで、採用活動や職場の定着率アップのヒントが見えてくるかもしれません。

 

編集・構成/メディカルサポネット編集部

 

PT・ST・OTの転職・就業動向

以下は「PTOTST白書2025年度版」における、退職・転職動向に関する調査結果です。

 

 

PT・OT・STが感じる仕事のやりがい

PT・OT・STが感じる仕事のやりがい  

現在の職場で仕事をする上でのやりがいを感じると回答した483人にそれはどのようなときかを尋ねたところ、上位に以下が挙げられています。

  • 「患者・入居者・利用者に感謝されたとき」68.9%
  • 「専門知識を活かせている実感があるとき」54.0%
  • 「患者様の身体機能の維持・向上ができたとき」53.2%
  • 「自分の望むリハビリに関われているとき」45.1%

 
リハビリを通じて患者や入居者、利用者に貢献できていると実感することは、PT・OT・STにとって大きなやりがいであり、モチベーションの源となります。自ら学んだ専門知識を実際のリハビリに活かせているという実感が、仕事への熱意を一層高めていると考えられます。

  

では、PT・OT・STが退職を考える理由にはどのようなことがあるのでしょうか。

 

 

退職・転職を考えるきっかけ

退職・転職を考えるきっかけ

 

退職を考え始めたきっかけ・理由を尋ねたところ、上位に以下が挙げられています。

  • 「給与・待遇」54.3%
  • 「人間関係」45.4%
  • 雇用形態・働き方」36.6%
  • 「労働時間・休暇」31.0%
  • 社風・方針」25.5%
      

本調査の自由回答欄に寄せられた実例には次のようなものがありました。

■20 代:評価を給与へ反映して欲しい。

■20 代:セラピストの人数や介護職が増えるといいと思う。上司が利用者人数に対するスタッフ数をしっかり理解すべき。利益を優先している運営に問題がある。

■30 代:資格を取得しても給与に反映されない。

■30 代:昔ながらの体育会系や権力を利用した高圧的指導がどの職場も蔓延している。

50 代:同年代の会社員と比較して年収ベースが低い。もっとベースを上げて欲しい。また、起業を含めたキャリアメイクの可能性に関して閉鎖的なので、もっと社会的交流が必要だと思う。

40 代収益を上げることに集中しており、セラピストをコストと捉えている。質は度外視されており、本来のリハビリが提供されていないことが多い。また経験年数の長いベテランについても新たな知見を得ようとしないセラピストも多く、数年に1度資格更新する必要を感じる。

60 代以上医療は診療報酬で成り立っており、一律で内容による賃金の上乗せや報酬が無いところは残念なところである。ちゃんと働かない人と給与は一緒という構図になっている。

  

では、PTOTSTが仕事を長く続けるには何が必要になるのでしょうか。

  

 

PT・OT・STを長く続けるために

PT・OT・STを長く続けるために

 

PT・OT・STを長く続けるために何が必要か尋ねたところ、上位に以下が挙げられています。

  • 給与などの待遇面の充実」78.7
  • 良好な人間関係」71.5%
  • 休暇の取りやすさ」55.7
  • 長時間労働負担を軽減する職場環境や人員体制」47.0
  • 勉強会への参加・認知取得など専門性を高めること」40.1%

 

給与や待遇の充実ももちろん大切ですが、それだけでは本当に働きやすい職場とは言えません。

大切なのは、心と体の健康を守りながら、自分の仕事にしっかり集中できる環境が整っていることです。

 

安心して意見を言える雰囲気や、無理のない勤務体制、仲間との協力関係――。

こうした“心地よく働ける職場づくり”があってこそ、毎日の仕事にやりがいを感じ、長く活躍し続けることができます。

 

 

まとめ

本記事からも分かるように、PT・OT・STが長く安心して働き続けるためには、「給与や待遇」といった目に見える条件だけでなく、「職場の人間関係」や「コミュニケーションの質」も非常に大切なポイントです。

どれだけ待遇が良くても、人間関係のストレスやサポート不足があると、モチベーションを保つのは難しくなります。

 

では、こうした課題に対して、事業者側はどのような取り組みを行えばよいのでしょうか。

たとえば、スタッフ同士の意見交換の場を設けたり、キャリアアップ支援やメンタルケア制度を導入したりすることで、安心して働ける職場づくりを進めている事例も増えています。

 

次回は、『PTOTST白書2025年度版』のデータをもとに、実際に定着率向上に成功している事業所の具体的な施策を紹介していきます。

現場で働く人にも、採用・管理を担う立場の方にも役立つ内容となっていますので、ぜひご期待ください。

 

 

↓全調査結果は、こちらよりダウンロードできます(会員登録無料)↓

セラピスト639人のリアル 労働・雇用実態調査 『PTOTST白書2025年度版』~「労働実態」「就労・転職志向」とは?~

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