2022.01.26
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池亀俊美さん
~榊原記念病院 副院長兼主任看護部長~

プロフェッショナルに聞く vol.5

プロフェッショナルに聞く vol.2 日本赤十字社医療センター 看護部長 川上潤子さん

  

  

編集部より

幅広い視野で課題解決に挑み、組織を引っ張る凄腕の看護管理者たちがいます。そうした看護管理者のもとを訪ね、これまでの経験やマネジメントの秘訣について話を伺う本シリーズ。今回登場していただくのは、榊原記念病院(東京都府中市)の副院長兼主任看護部長、池亀俊美さんです。聖路加国際病院で循環器領域を中心に28年間、キャリアを積んだ後に、人柄や能力を見いだされて、循環器領域で歴史のある榊原記念病院の看護部長に抜擢されました。異例ともいえる他院からの抜擢人事にもかかわらず、持ち前の柔らかい物腰と徹底した現場目線で、着任後は研修体制やリーダー育成などで独自の取り組みを導入しています。池亀さんの考えるマネジメント術やリーダーとしての心構えなどを伺いました。

 

取材・文/横井 かずえ

撮影/和知 明

編集/メディカルサポネット編集部

  

プロフェッショナルに聞く vol.4 東京女子医科大学病院 副院長兼看護部長 白石和子さん 

 <プロフィール>

 池亀 俊美(いけがめ・としみ)

公益財団法人 日本心臓血管研究振興会附属 榊原記念病院 副院長兼主任看護部長

東京都出身。東京女子医科大学看護短期大学卒業後、東京女子医科大学日本心臓血圧研究所附属病院に勤務。聖路加看護大学(現・聖路加国際大学)看護学部編入を経て、1990年に聖路加国際病院に入職。1996年より副婦長、2000年より婦長としてマネジメントに従事。2007年に聖路加国際大学大学院博士前期課程(修士課程)修了。2018年より現職。2020年6月より、東京都看護協会 多摩南地区支部長も務める。

   

「依頼は断らない」のポリシーで、榊原記念病院の看護部長に抜擢

 

――聖路加国際病院では28年間、経験を積んでこられました。これまで歩んできたキャリアについて教えてください。

 

聖路加国際病院では循環器領域を中心に、CCU、一般病棟、外来などを経験し、途中、聖路加看護大学大学院博士前期課程(修士課程)に進みました。大学院修了後は、看護管理室、聖路加メディローカス(大手町)、QI(Quality Improvement:医療の質・改善)センターで医療の質・改善、病床管理や医療安全に取り組み、同院が日本で3番目に認証を取得したJCI(Joint Commission International)の受審準備などに関わりました。

 
   

――マネジメントに進んだきっかけは何だったのですか?

 

1996年7月に、所属部署CCUの副婦長(当時)に推薦してもらったことがきっかけです。その後、ベッドサイトケアを中心に仕事を続けながら、2000年4月に一般病棟(循環器内科・心臓血管外科)・HCUの婦長(当時の職位)に昇格しました。

 

婦長の声がかかった時は、正直迷いました。もともと集中治療領域だけで仕事をしていこうと考えていて、一般病棟で大勢の患者さんを看るというイメージができなかったからです。しかし循環器内科・心臓血管外科ならば馴染みのない領域ではありませんでしたし、それまで関わっていた看護外来も継続できるということだったので「それならやってみよう」と思ったのです。

 

また、当時の副看護部長で現在、日本看護協会で常任理事をしている吉川久美子氏から言われた「異動する時は、ポジションを持って行った方がいい」という言葉にも影響を受けました。知らないところに行く時ほど、昇格という形で異動した方が、ポジションパワーで運営がスムーズに行くというアドバイスだったのだと思います。

 

 

――2018年4月に看護部長として榊原記念病院に着任したのは、まさにポジションを得ての異動となりました。どのように決心したのですか?

 

私は基本的に「ご依頼いただいた仕事は断らないこと」をポリシーにしています。オファーをいただくこと自体がチャンスですし、自分自身の成長にもつながると思うからです。そうは言っても、看護部長のポジションでオファーをいただくことに、戸惑いもありました。しかし、周囲に相談したら「そんなチャンスはめったにない」と、非常にポジティブに背中を押してもらうことができたのです。担当していた医療安全やJCI取得もひと段落つき「次に何をしよう」と考えていたタイミングでもありました。年齢的に「このスピード感で走り抜けられるのは、あと10年くらいかもしれない。これも何かのご縁だろう」と考えて決心したのです。

 

長年、循環器領域で仕事をする中で、榊原記念病院の人たちと親交があったことも、踏み切ることができた理由のひとつです。磯部光章院長とは日本医療研究開発機構(AMED)の研究班で一緒でしたし、そのほかにも交流のあるスタッフがたくさんいました。

 

 

プロフェッショナルに聞く vol.4 東京女子医科大学病院 副院長兼看護部長 白石和子さん

 

 

 

現場の声に耳を傾けマネジメント実践手法を開拓

 

――現職に就任してから取り組んだことを教えてください。

   

私に声を掛けてくれた財団の常任理事からは「まずはスタッフと話してください」と言われました。そのため、とにかく副部長や師長、副師長などと会って話すことからスタートしました。私自身、マネジメントの手法については大学院の修士課程で少しかじった程度であり、それほど体系的に学んだわけではありません。そのため、どのような

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