2025.12.23
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研修義務が残されたままのケアマネ(介護支援専門員)更新制度廃止は意味が無い

~菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営~Vol.13

ケアマネジャー資格更新制度の廃止が議論されています。いつから廃止になるのかは検討中ですが、5年に一度集中的に受講する研修を、毎年5時間程度の研修受講義務に変更するという案も検討されているようですが、果たして負担は軽減するのでしょうか?本質に迫ります。(2025年12月23日現在の情報です)

~菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営~

    

編集部より

2024年に行われた介護報酬改定を通して、介護業界には多くの課題が生まれました。経営課題はもちろん、人材不足の解決、介護DXをどのように進めるか、事業所経営者は様々な問題と直面することでしょう。

そこで、本コラムでは「masaさん」の名で多くの介護事業経営者たちから慕われる、人気介護事業経営コンサルタント菊地雅洋さんに、「菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営」として、介護の現場に重要なノウハウやマインドを解説頂きます。

  

第13回は、研修義務が残されたままのケアマネ更新制度廃止は意味が無いです。

 

ケアマネジャー資格更新制度の廃止が議論される中、現場ではその是非や実効性をめぐり賛否が分かれています。

更新制がなくなれば本当に負担は軽減されるのか、それとも本質的な問題は残されたままなのでしょうか。

 

本稿では、研修義務が存続する更新制度廃止の矛盾点を起点に、義務研修の問題点と専門職に求められる学びの在り方を掘り下げます。

現場目線で制度の本質に迫る内容です。ぜひご一読ください。

  

執筆/菊地雅洋(北海道介護福祉道場あかい花 代表)

編集/メディカルサポネット編集部

   

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1. 介護支援専門員の資格更新制度廃止は大改革なのか?

1. 介護支援専門員の資格更新制度廃止は大改革なのか?

 

2006年から介護支援専門員(以下、ケアマネと略)の資格は、5年に一度資格更新制度が導入されており、更新期間が過ぎる前に更新研修を受けなければケアマネ実務に就けないことになっている。

更新研修は実務経験等に応じて32時間~88時間のカリキュラムが定められており、現在その内容は、基本ケアに加えてケアマネが取り扱う可能性が高い脳血管疾患・大腿骨頸部骨折・心疾患・認知症・誤嚥性肺炎という5つの疾患別ケアで構成される適切なケアマネジメント手法や、ヤングケアラー、仕事と介護の両立、意思決定支援など、近年の動向に関する内容も反映される内容となっている。

 

この更新研修は、ケアマネ実務に携わっているものにとっては、5年に一度とはいえ、集中的に講義中心の研修を受講しなければならないために、長時間にわたって利用者対応ができなくなるのに加えて、受講費用負担も重たいことから大きな負担となっている。

 

社会保障審議会・介護保険部会では、次期介護保険制度改正議論の中で、こうしたケアマネ資格更新制度を見直す議論が進められていたが、更新制廃止の方向で意見がまとめられた

その為、来年1月に召集される通常国会に提出する介護保険法などの改正案に、更新制廃止を盛り込むことにしている。

だが実際に更新制が廃止される時期はまだ不透明であり、今後日程が決められていくことになる

 

ケアマネ更新制廃止の報に触れて、全国のケアマネジャーから様々な反響があり、ネットニュースの見出しには、「激震」などと大げさな文字が踊っている。

それだけケアマネ実務者にとって更新制度の廃止は大きなニュースで、かつ朗報と受け取られているということである。

それは裏を返せば、更新制度はもともと意味のなく不要なものだと考えているケアマネが多いということでもある。

その制度廃止は果たしてケアマネ実務者が望むものであり、大改革と言えるものなのだろうか。

    

 

2. 資格更新制が廃止されても研修義務が残されては意味なし

2. 資格更新制が廃止されても研修義務が残されては意味なし 

筆者は今回の更新制度廃止はほとんど意味が無いものと思っている。

なぜなら、主任ケアマネジャーも含めて資格の更新制を廃止するとはいっても、一定の研修の受講を法令上の義務とするとされているからだ。

その理由について12/15の社保審・介護保険部会に提出された報告案には、「専門職として、新たな知識と技能の修得に継続的に取り組んでいくことの重要性は変わらない」と明記。引き続き定期的な研修の受講を行うことを求めることが適当」と記されている。これによって資格更新制度の廃止は、ほとんど意味が無くなったと言って過言ではない。

 

考えてみてほしい。現在のケアマネ資格更新制度というのは、別に試験があるわけではない。

研修受講義務があるだけで、この研修に時間と費用をかけることの無駄が、資格更新制度廃止論に繋がっているわけである。

更新制度がなくなっても、研修受講義務が残っていれば、この状態に変わりはないのだ。

結局お金と時間をかけて、従前と同じ無駄と思える講義を聴かされるのである。

 

資格の更新という概念はなくなるが、ケアマネジャーにとって研修の受講は引き続き必須となる。

このことに何の意味があるのだろう、一部報道等ではこのことについて、「研修を修了しなければ資格を失う現行の制度が撤廃される。」と解説されているが、これは間違った認識だ。

 

現行制度でも更新研修を受けなくとも資格が失効するわけではなく、単にケアマネ実務に就けないだけだ。

筆者はケアマネ資格を有しているが、15年以上ケアマネ実務に携わっていないため更新研修を受けていない。

しかし今後ケアマネ実務に就くことがあれば、あらためてケアマネ資格を取得する必要はなく、更新研修を受ければ良いだけである。

 

資格更新という概念をなくしても、研修義務を残すということは現在の更新制度と変わりがない。

つまり義務研修が残されている限り、資格更新制度が残されているのと変わりはなく、「大転換」とは言えないのである。

 

 

3. 介護支援専門員だけになぜ義務研修が必要なのか

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