2025.12.01
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外国人介護人材受け入れの必然と課題

~菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営~Vol.12

介護事業者が外国人材を長期的な戦力として迎え入れるための職場づくりのポイントや支援のコツをわかりやすく解説します。

~菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営~

    

編集部より

2024年に行われた介護報酬改定を通して、介護業界には多くの課題が生まれました。経営課題はもちろん、人材不足の解決、介護DXをどのように進めるか、事業所経営者は様々な問題と直面することでしょう。

そこで、本コラムでは「masaさん」の名で多くの介護事業経営者たちから慕われる、人気介護事業経営コンサルタント菊地雅洋さんに、「菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営」として、介護の現場に重要なノウハウやマインドを解説頂きます。

  

第12回は、外国人介護人材受け入れの必然と課題です。

 

少子高齢化で介護人材不足が深刻化する中、外国人介護人材の受け入れは不可欠です。
特定技能制度や登録支援機関による支援も広がっています。

しかし、給与や生活支援、文化の違いへの配慮が不足すると、外国人材が短期間で離職するケースも少なくありません。

 

本記事では、介護事業者が外国人材を長期的な戦力として迎え入れるための職場づくりのポイントや支援のコツをわかりやすく解説します。

  

執筆/菊地雅洋(北海道介護福祉道場あかい花 代表)

編集/メディカルサポネット編集部

   

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1. 介護職員数減少時代という新たなステージ

 

介護人材が足りないという問題は、介護保険制度がスタートする以前から指摘されていた。

そうはいっても2000年の制度施行時以降、全国の介護職員数は前年比で増加し続けていた。

よってその頃の介護人材不足とは、要介護者・介護保険サービス利用者の増加に対して、介護職員の増加スピードが追いついていないという意味だった。

 

ところが昨年12/25に厚労省が公表した調査結果では、20231010日現在の介護事業者に所属する介護職員数が約212.6万人となり、前年比で2.9万人減少するというショックな数字が示された。

そのような中で要支援者と要介護者数は前年比8万人増えているのだから問題は深刻である。

 

過去の介護人材不足とは比較にならないほど、人材は足りなくなっており、地域によっては訪問介護事業所等の必要なサービス拠点が存在しないところも出てきている。

    

 

2. 必要性が増す外国人介護人材も確保競争が始まっている

 

少子化がますます進行し続ける我が国では、生産年齢人口の減少が続き、全産業で労働力が足りなくなっている

この状況が短期間に改善することは難しいだろうし、介護事業のみ労働力が増えるということはあり得ない。

 

よって今後は益々介護人材不足が深刻化することを念頭に置き、ICT導入などを含めた介護DXを推し進めて、人が従前より手をかけなくてよい介護サービスの在り方を創造していくことは必然だ。

だが身体介護は、テクノロジーが人の替わりになってできる行為が限られている現状があり、その部分は外国人材の受け入れも進めて、日本人以外の介護人材に頼らねばならない

 

文化が違う、生活習慣が異なるとして外国人材の受け入れをためらっている間に、介護事業そのものが回らなくなる前に、外国人材を受け入れる体制作りをしておかねばならないのである。

その為には職場全体で外国人に対する偏見や誤解を解いておく必要がある。

介護事業経営者や管理職にはグローバルに人材を求めながら、それらの人々がチームとして機能する職場づくりに努めるというふうに発想転換が求められている。

 

そうはいっても日本の介護業界に魅力を感じて入国してくる外国人は期待したほど増えていない。

むしろ東南アジアの人たちは、日本の物価高や円安による収入減、そもそもの賃金の低さを嫌って欧米や中東に出稼ぎに行く人が増えている。

そのようなことが影響して、外国人材も増えるどころか減ってしまう懸念がある。

だからこそ外国人介護人材に選ばれる介護事業者である必要性も増している

 

そのような中で、今年度の介護福祉士養成校の入学者が7.970人となり、前年度の7.386人から584人(7.9%)増加した。入学者が増加に転じたのは3年ぶりのことである。

だが日本人入学者数だけを見るとその数は減っており、全体入学者が増えた要因は、外国人留学生の入学者数が4532人となり、前年度から943人(26.3%)増加した結果である。

介護福祉士を目指す専門学校の入学者が、全国で8千人に満たないというのも深刻な問題であるが、そのわずかな数の学生数の過半数が外国人であるということも我が国の深刻な労働力不足を現している。

 

介護福祉士養成校の外国人の割合は今後も増え続けていくだろうし、それらの方々が介護事業者にとって貴重な人材となっていくのも明らかだ。なぜならそれらの方々の大半はいずれ介護福祉士の資格を取得することになるからだ

介護福祉士の資格を得た外国人は、「在留資格・介護」として、家族を含めて永住が可能となる。

その為、外国人であって介護事業者の長期的戦力としての期待値も高まるために、介護福祉士養成校卒業者は引く手あまただ。それらの外国人材にも選択される介護事業者でなければならない。

 

 

3. 国がしなければならないこと、介護事業者が出来ること

 

3. 国がしなければならないこと、介護事業者が出来ること

 

我が国の少子高齢社会はさらに進行し、生産年齢人口も減り続けるのだから、今後も継続的に外国人介護人材を広く受け入れていかなければ介護事業者の存続、介護事業の安定経営は不可能である。

ところが一旦介護事業者が採用した外国人材が短期間で退職してしまい、介護業界を離れて他産業に再就職するケースが増えている

 

全国老施協の、「令和6年度外国人介護人材定着度調査報告書」によると、過去5年間での外国人材の離職理由トップ2は以下の通りだ。

 

①他の職種(介護関係以外)へ転職(52.1%)

②賃金への不満(36.3%)

 

そもそも外国人が来日して日本の介護事業者で働く最大の理由は、日本の優れた介護技術を学びたいという理由ではない。彼らは単純に稼ぐために来日しているのである。

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