2025.11.11
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運営指導に対する介護事業者の心構え

~菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営~Vol.11

~菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営~

    

編集部より

2024年に行われた介護報酬改定を通して、介護業界には多くの課題が生まれました。経営課題はもちろん、人材不足の解決、介護DXをどのように進めるか、事業所経営者は様々な問題と直面することでしょう。

そこで、本コラムでは「masaさん」の名で多くの介護事業経営者たちから慕われる、人気介護事業経営コンサルタント菊地雅洋さんに、「菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営」として、介護の現場に重要なノウハウやマインドを解説頂きます。

  

第11回は、運営指導に対する介護事業者の心構えです。 

介護事業者に対する行政指導は、現場の質を守るために欠かせない取り組みです。

一方で、運営指導への不安から「対策講座」に頼りすぎる傾向も見られます。ですが、本当に必要なのは、日々の自己点検と法令理解を通じて自ら備える力

 

今回の記事では、対策講座の落とし穴と、事業者が主体的に成長するためのポイントを解説します。

行政との対話の場として、運営指導をどう活かすか——そのヒントをまとめました。ぜひご一読ください。

  

執筆/菊地雅洋(北海道介護福祉道場あかい花 代表)

編集/メディカルサポネット編集部

   

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1. 指導と監査の区分

1.指導と監査の区分

 

介護事業者に対して定期的に実施される行政指導は、「集団指導」と「運営指導」に大別される。

 

集団指導は原則として1年に1回、地域ごとに全ての介護事業者に対して実施されるものだ。

その目的は適正な方法でサービスや請求が行われるように、制度改正・報酬改定、過去の指導事例などの最新かつ必要な情報を伝えるものである。

 

運営指導は、以前「実地指導」と言われていたが、2022年3月31日に出された介護保険施設等指導指針により、実地だけでなくオンラインなどを活用した指導も認められたことから「運営指導」に変更となっている。

運営指導は新規指定から1年以内に実施されることが目安とされ、その後は指定の有効期間(6年)に1回以上行われるとされている。

 

ただし居宅サービスのうち居住系サービス、地域密着型サービスのうち居住系サービス又は施設系サービス、施設サービスについては3年に1回以上の頻度で行うことが望ましいとされている。

その目的は事業所のサービスの質の確保と保険給付の適正化であり、指定権者が事業所の運営状況を確認する目的で、管理者や職員へのヒヤリング、記録などの書類点検などが主な内容となる。

 

これに対し監査は、事業運営に著しい違反がある、もしくは疑われる場合に実施されるものであり、確認は運営指導より厳しく、報酬返還や指定取り消しなどの行政処分などに繋がる確率も高くなる。なお運営指導の際に重大な法令違反が発見された場合は、即監査に切り替わって指定取り消しなどの処分を受ける可能性もある。

 

つまり指導と監査は区分されており、次のような異なった目的で行われる。

○ 指導は制度管理の適正化とよりよいケアの実現

○ 監査は不正請求や指定基準違反に対する機動的な実施

 

なお集団指導と運営指導は、事前に実施日時を告知したうえ、準備すべき必要書類などを明示したうえで実施されるが、監査については告知なしに抜き打ちで行われることが多く、確認書類等もその場で指示されることになる。

    

 

2. 運営指導に対する備えとして必要な事

 

2. 運営指導に対する備えとして必要な事

関係者の中には運営指導を受けることを特別なことと構えて考える人がいる。

しかし運営指導は定期的に実施されるものであり、その対応は日常業務の一つにすぎない。

適切な事業経営・サービス提供を行っている事業者にとって決して恐れる必要がないものだ。

 

そもそも運営指導は、事業者の不正を見つけるために行われるものではなく、サービスの質を担保するために介護保険制度上の最低基準や報酬算定基準等を守っているかが問われるものだ。

真面目に介護事業運営に取り組んでいるのであれば、記録等に一部不備があるなどのわずかな齟齬については、指導を受けて改善すれば良いだけの話である。

むしろ指摘事項から学び取って、よりよい事業運営につなげていけば良いと思う。

 

その為にも運営指導の備えとは、毎年行われる集団指導で指摘される内容を吟味し、指導内容に沿った運営が行われているかを精査しておくことで十分である。

 

集団指導は運営指導の際に不適切運営とされないための最新の情報提供の場であるのだから、その指導内容を漏れなく実施し、その記録を確実に残しておくように努めることが重要だ。

そのうえで報酬算定上のルールに精通し、算定要件に沿った請求行為を行っているならば、運営指導は単に通過儀礼と考えてよいほどのものでしかない。

 

 

3. 運営指導対策講座にコストと労力をかける無駄と弊害

 

3. 運営指導対策講座にコストと労力をかける無駄と弊害

 

ところが運営指導で不適切運営を指摘されることを防ぐために、全国各地で「運営指導対策講座」なるものが開催されており、そこには結構人が集まるそうである。

 

しかしそのような「対策講座」に参加しないと、

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