2025.10.29
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第9回 看護管理者自身のモチベーションを保つには?

現場で役立つ!看護マネジメント入門

現場で役立つ!看護マネジメント入門 第9回 管理者自身のモチベーションを保つには?      

    

編集部より

看護管理を実践するには、患者さんに安全で安心な看護を提供するための優れたスキルだけでなく、看護師を適切に導くための現場管理、リーダーシップ、組織運営、コミュニケーションなどにまつわる力を身に付けることが求められます。

本連載では、看護師を適切に導くための現場管理、リーダーシップ、組織運営、コミュニケーション能力など、看護マネジメントに関するさまざまなテーマを解説しています。

 

多くの役割を担う管理者は、「責任を果たさなければならない」という重圧を抱えながら、日々さまざまな業務をこなしています。

その結果、気付かないうちに心身が疲弊していることも少なくないでしょう。

 

今回は、自身のメンタルを安定させる方法を考えるとともに、部下の心の健康を支えるために管理者としてできることについても触れていきます。

  

執筆株式会社ナレッジリング

編集メディカルサポネット編集部

          

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1.管理者こそ、心身ともに健康でいよう

1.管理者こそ、心身ともに健康でいよう

   

これまでの8回の連載を振り返ると、管理者には実に多様な能力が求められていることが分かります。

それらの能力は、単に看護師としてのスキルにとどまりません。

 

多様な価値観を持つ看護スタッフをチームとして率いるリーダーとしての志や力量、患者さんの容体変化、病院全体の繁忙状況、さらには社会情勢の変化にもしなやかに対応できる柔軟性や感性など、多岐にわたります。

 

いざ気合いを入れて取り組もうとしても、現場に足を踏み入れるとイメージ通りには進まないことも多いでしょう。

例えば、看護師特有の精神的負荷スタッフや自身の長時間労働上層部からのコスト削減や業務効率化の指示など、新人看護師とはまた異なるかたちで、理想と現実のギャップに悩むことも少なくありません。

 

しかし、管理者自身が心身ともに健康であることは欠かせません。どのような課題に直面してもリーダーとして役割を果たすためには、多少の困難にくじけず、何度つまずいても立ち上がる力が必要です。その力の源となるのが、健全なモチベーションです。

健康的なモチベーションを維持するために、ここであらためてストレスコーピングについて考えてみましょう。

 

 

2.職場でのストレスモデルを知っておこう

2.職場でのストレスモデルを知っておこう  

職業上のストレスコーピングを考える際には、NIOSH(National Institute for Occupational Safety and Health:米国国立労働安全衛生研究所)が作成した「職業性ストレスモデル」が参考になります。

このモデルでは、業務上で生じ得るストレス要因ストレスが高まった時に現れやすい症状それを和らげる緩衝要因などが図示されており、メンタルヘルスについて考える上で世界的に活用されています。

 

【図:職業性ストレスモデル】

【図:職業性ストレスモデル】

  

図のように、仕事上のストレス要因には、職場環境役割上の葛藤・不明確さ人間関係などさまざまなものがあります。

さらに、仕事以外の要因(引っ越しや家族の受験など)が加わると、ストレス状態は一層強まることがあります。

そのまま進行すると、徐々に身体・心理・行動面に症状が現れるようになり、さらに悪化すると疾病へとつながることも……。

 

そこで注目したいのが「緩衝要因」で、ここでは重要な4つのポイントを紹介します。

緩衝要因が充実するほどストレス状態を和らげ、矢印が右側へと進むことを食い止めたり、緩和したりすることが期待できます。

 

 

3.ストレスを緩和するための4つのポイント

3.ストレスを緩和するための4つのポイント 

それでは、緩衝要因として有用な、「生活習慣を整える」「気分転換になることを実践する」「認知を柔軟にする」「ソーシャルサポートを持つ」という4つのポイントを見ていきましょう。

1.生活習慣を整える

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