2025.11.27
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介護職のための生成AI活用ガイド
~記録を減らし、笑顔を増やす技術~

~小濱道博のこれからの時代を乗り切る介護事業戦略 vol.13~

生成AIを使って介護記録の時短や業務効率化を実現するための実践ガイド。プロンプトのコツ、専用AIの作り方、API連携、定着化のポイントまで、介護現場で今日から役立つ活用法をわかりやすく解説します。

~小濱道博のこれからの時代を乗り切る介護事業戦略 vol.12~介護職のための生成AI活用ガイド〜記録を減らし、笑顔を増やす技術

     

編集部より

2024年に行われた介護報酬改定や、経営情報の提供の義務化など、介護業界は大きな変化の波の中にあります。そのような時代において、日経ヘルスケアや介護ニュースJOINT、介護実務書籍執筆者としても著名な小濱介護経営事務所代表、小濱道博さんが「これからの時代を乗り切る介護事業戦略」を、解説していきます。

  

第13回は、『介護職のための生成AI活用ガイド〜記録を減らし、笑顔を増やす技術』です。

 

介護現場では、記録業務の負担増や人手不足が深刻化し、生成AIへの関心が高まっています。しかし「AIは難しそう」「安全面が不安」といった声も多く、活用が進まない現状があります。

 

本稿では、そんな不安を解消しながら、生成AIを介護業務に取り入れるための具体策を紹介。

AIの基礎から、記録を5分短縮するプロンプト術、施設専用AIの作り方、他システムとの連携方法まで段階的に解説します。

 

今日から実践できる時短テクや、安全に使うためのルールづくりをわかりやすく紹介。

さらに、AIを“代替者”ではなく“伴走者”として活かし、職員の負担を減らして利用者と向き合う時間を取り戻すための、現場視点のヒントが満載です。ぜひご一読ください。

     

執筆/小濱道博(小濱介護経営研究所 代表)

編集/メディカルサポネット編集部

▼これまでの連載を読む▼

 

 

               

  

                       

1. AIって何? 現場を助ける新しい「手」の基礎知識

介護現場の方々にとって、「AI」と聞くと、少し遠い話に感じるかもしれない。

しかし、今話題の「生成AI」は、難しい機械ではなく、日々の事務作業を驚くほど手伝ってくれる、新しいアシスタントだと考えるべきである。

 

このアシスタント(ChatGPTやClaudeといったものです)の得意技は、私たちが話したり書いたりした「言葉」を理解し、そこから新しい「文章」や「要約」を作り出すことである。

例えば、長々と書いた介護記録のメモを渡せば、それを「専門的で、読みやすい正式な記録」にパッとまとめてくれる。

これが、生成AIが介護現場でできる一番大きな仕事である。

 

しかし、このアシスタントには限界があることも知っておく必要がある。

AIは、人の命に関わる「診断」や「判断」は絶対にできない。また、たまに「嘘やでたらめな情報(ハルシネーション)」を、まるで本当のことのように話すこともある。

だから、AIが作ったものはあくまで「下書き」であり、最終的には介護の専門家である自分自身の目で見て、「これで間違いがない」と確認することが、最も大切な作業になる。

 

そして、この新しいアシスタントを使う上で、絶対に破ってはいけないルールがある。

それは、「利用者様の個人情報をそのままAIに入力しない」ということだ。

氏名や詳しい病状など、その方を特定できる情報は、必ず別の言葉に置き換えたり、削除したりしてから(匿名化)AIに入力するように徹底しなければならない。

このルールさえ守れば、AIは安全に、そして力強く皆様の業務を支えてくれるだろう。

  

 

2.「指示の出し方」一つで記録時間を5分短縮する方法

AIを上手に使う秘訣は、「良い指示の出し方」、つまり「プロンプト」という魔法の言葉を覚えることである。

AIは、指示が具体的であればあるほど、良い結果を返してくれる。

 

良い指示には、三つのポイントを盛り込むようにすると良い。

一つ目は、AIに「役割」を与えること。「あなたはベテランの介護主任だと思ってください」といった記述だ。

二つ目は、何をしたいかの「目的」を伝えること。「このメモから、事故報告書の下書きを作ってほしい」などと明確に伝える。

そして三つ目は、「制約」を加えること。「箇条書きで、主観的な感想は入れないこと」といったルールだ。

 

このプロンプトの技術を介護記録に使うと、効果はすぐに出る。

例えば、スマートフォンに話して残した日中のボイスメモをAIに入力する際、「あなたは記録のプロである。この音声記録を、誰にでも伝わる丁寧な言葉遣いのケース記録にまとめてください」と指示するだけで、面倒な書き直し作業をAIが一瞬で片付けてくれる。

これにより、「記録にかかる時間を5分短縮する」という目標が現実のものとなる。

 

そして、この時短効果を最大限に高めるために、「現場でのメモ→AIが清書→職員全員で確認」という一連の流れを、チームで決めておくことが重要である。

この流れの中に、「必ず誰かが最終チェックをする」という確認作業を組み込むことで、AIの間違い(ハルシネーション)を防ぎながら、効率だけを高めることができる

 

 

3.「うちの施設専用AI」と他のシステムとのつなぎ方

AIに慣れてきたら、次にもっと便利にするステップに進む。

それが、「うちの施設専用AI」を作ることである。

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