現役病院事務長が語る 医療機関の増収を阻む“思考停止ワード”とは?

    

編集部より

病院の事務長、藤井将志さんが、実務者の視点から病院経営について時に辛口解説する今シリーズ。

 

医療機関の収入減少が課題となる中、増収の鍵は「患者数×単価」の見直しにあります。

しかし「地域人口が減っている」「患者負担が増える」といった“思考停止ワード”が、対策の足かせになっています。

本稿では、集患の基本行動の見直しや診療報酬制度の活用など、現場でできる増収のヒントを提示。

「当たり前の言い訳」に陥らず、今できる具体策を再考したい方におすすめの内容です。ぜひご一読ください。

 

執筆/藤井将志(特定医療法人谷田会 谷田病院 事務部長 藤井将志)

編集/メディカルサポネット編集部

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1. 収益増の思考停止ワード

1. 収益増の思考停止ワード 

最近、医療機関の収入が減っているという声が聞かれます。

収入は「患者数×単価」で決まります。

つまり、患者数を増やすか、単価を上げることで収入は増えていきます

 

今回は、この「患者を増やす」という視点と「単価を上げる」という2つに分けて、増収策を考えていきたいと思います。

どちらを考えるうえでも、思考停止に陥りやすい危険なキーワードがあります。

 

 

2. 地域の人口が減っている!

2. 地域の人口が減っている! 

まず患者数について見ていきます。

医療もビジネスですので、顧客に選んでもらう必要があります。

つまり、患者数を確保することは“一丁目一番地”の施策です。

 

集患対策を考える上で最も危険な思考停止ワードが、「地域人口が減っているから仕方がない」です。

確かに人口は減っており、日本全体でいうと年間に約55万人減少しており、鳥取県と同じくらいの人口がなくなっていることになります。

筆者のいる熊本県では人口が約169万人ですが、年間約1万人減っています。

筆者の所属する谷田病院がある甲佐町の人口が約1万人ですので、町全体の人口が1年間でなくなっている計算になります。

こう聞くと、「やはり患者が減っているのは人口が減っているからだ」と思いたくなる気持ちも分かります。

 

しかし、これらの数字は広い範囲を平均化した指標です。

診療所や地域の病院クラスであれば、1~2年という短期で大きく影響することは多くありません。

例外として、人口が2~3千人くらいしかいない地域高度医療機関で都道府県全域に一つしかないような診療分野、あるいは診療圏が広く半径1時間以上移動しないと他の医療機関がない地域などでは、確かに、地域人口の減少が如実に患者数に影響する可能性があります。

これらを除いた多くの地域で1~2年というスパンで患者が激減することが、地域人口のせいということはないでしょう。

 

むしろ、それを言い訳にして「だから仕方ない」と口にしてしまうことこそ、思考停止に陥る危険なワードだと思います。

①患者さんを断っていないか、

②地域にしっかりと宣伝しているか、

③介護施設や他の医療機関に営業に行っているか——こうした基本的なことをおろそかにすると、患者数は減りかねません。

 

一昔前は地域に同じ診療科のライバル医療機関が少なかったり、患者さんがインターネットで広域に調べることもありませんでした。

 

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