2025.10.23
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現役病院事務長が語る
ボトムアップ型組織を目指すべきか?~実現のカギは「上司のつらさ」~

理想論ではなく、現実的に組織改革をしたい方へ…ボトムアップ型組織をつくる7つのステップを解説!

ボトムアップ組織を目指すべきか?~実現のカギは「上司のつらさ」~

    

編集部より

病院の事務長、藤井将志さんが、実務者の視点から病院経営について時に辛口解説する今シリーズ。

 

組織づくりにおいてボトムアップ型は理想的に思えますが、トップダウン型でも十分に成果を上げることが可能です。それでもボトムアップに挑戦すると、なかなか意見が出ず、上司は辛い時期を経験し、心理的な負担も少なくありません。

そこで藤井さんは、繰り返し「どう思う?」と問いかけながら、小さな提案を実行させ、失敗の責任は上司が引き受けることで、チームが自律的に動ける組織へと育てる方法を提案しています。

 

この方法を知ることで、部下が安心して挑戦できる環境づくりや、上司による適切な支援の具体策を理解できます。

ぜひご一読ください。

 

執筆/藤井将志(特定医療法人谷田会 谷田病院 事務部長 藤井将志)

編集/メディカルサポネット編集部

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1. ボトムアップ型の組織が望ましいわけではない

1. ボトムアップ型の組織が望ましいわけではない 

ボトムアップ型の組織にしたいというご相談を受けることがよくあります。

自分で考えて自走するような組織をイメージして尋ねられるのですが、

こうした相談をしてこられる上司の多くは、心の底からボトムアップ型の組織になることを願っているわけではないことが少なくありません。

 

筆者は、必ずしもボトムアップの組織が望ましいとは思っていません。

トップダウンの組織でも十分に機能しますし、大きな成果を残しています。

 

トップダウン型のマネジメントに慣れている上司がボトムアップにしようと思うと、

「産みの苦しみ」がたくさんあります。

部下から見下されたり、「なぜこんなことまで言われないといけないのか」といったことまで言われる場面も多々あります。

 

それでも耐え忍んで、メンバーが成長していく過程を見守らなければなりません。

ある意味、上司のほうが心理的安全性が侵されているような環境ともいえなくはないでしょう。

 

そこまでしてボトムアップ型組織にこだわるよりも、むしろ命令を受けて、着実に業務をこなす組織のほうが望ましいかもしれません。

 

 

2. しばらく上司として辛い時期が続く

2. しばらく上司として辛い時期が続く 

それでもボトムアップ組織をつくりたいという場合に、筆者が実施している取り組みをお伝えするようにしています。

 

トップダウンに慣れたチームに、突然、コーチング的に「みんなどう思う?」「どんなことがやりたい?」と問いかけても、いきなりボトムアップ型のチームはできません。

それも当然で、長年、ボトムアップの提案がなかなか通らず苦労してきた人たちの姿を間近で見ています。

 

だから、急に「何でも言ってください」と言われても、慣れていませんし、すぐには信じられないでしょう。

 

こうした場面を2〜3回経験すると、よく出てくるのが「うちのチーム(病院)はボトムアップの意見が出てこないんですよ」という言葉になります。

そこでだいたい諦めてしまい、上司から「自分ならこう思うけど」「こんなふうにやってみたら」といった声かけをする、中途半端なコーチングになっていきます。

 

なかなか意見が出なくても、自分に知識がなく、馬鹿になったつもりで、「自分は分からないから(もしくは、忙しいから)、みんなで考えて調べて、どんなふうにしたらいいか提案してね」というスタンスを貫きます。

 

それでも、誰も何も言わないこともありますし、上司として馬鹿にされたり軽んじられることもあるでしょう。

それを3ヶ月以上続けると、「もうこの上司はあてにならない」といったあきらめモードが充満します。

 

それでも「どう思う?」と繰り返し聞いていき、意見を引き出していきます。

この、あきらめモードが見えてきたら、あと一歩です。

 

「もうこの上司にいろいろなことを期待するのはやめよう。」「こうなったら一番現場を知っている自分たちで考えるしかない」という段階まで来ると、少しずつ考えや意見が出てくる段階になります。

 

 

3. 小さな失敗を許容し、自走し始めても止めない

3. 小さな失敗を許容し、自走し始めても止めない

 

注意しないといけないのは、このタイミングです。

 

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