現役病院事務長が語る 経営改革はいつ始めるべきか?

    

編集部より

病院の事務長、藤井将志さんが、実務者の視点から病院経営について時に辛口解説する今シリーズ。

今回は「経営改革はいつ始めるべきか?」についてご紹介いたします。

 

経営改革について「いつ実施すべきか、適切なタイミングは存在するのか」と尋ねられることが多い藤井さんは、病院の状態が「危機的」か「まだ大丈夫」かを見極めることが非常に重要だと話しています。この判断によって、改革を進めるスピードが大きく変わるからです。

本記事では、組織全体の改革に適したタイミング、特定の部署での改革実施時期、そして理想的な経営に近づくための段階的なプロセスについて詳しく解説します。ぜひご参考になさってください。

 

 

執筆/藤井将志(特定医療法人谷田会 谷田病院 事務部長 藤井将志)

編集/メディカルサポネット編集部

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経営改革はいつやるべきか、タイミングがあるのか——この質問を受けることがあります。

まず「経営状態がどれほど厳しいか」によって進めるスピードは大きく変わります。

経営状態が非常に悪く、早急に収支を改善しないと破綻しかねない“崖っぷち”では、組織内の理想論を語っている余裕はありません正攻法で短期に数字を改善できる施策を、矢継ぎ早に実行する必要があります。

この局面では組織に大きなプレッシャーがかかり、「何のために仕事をしているのか」「数字のために働いているわけではない」といった不満が噴出します。

 

しかし、その声に耳を傾けすぎれば、組織や会社そのものが倒れてしまいます。

ここは有無を言わさず断行するしかありませんその過程で職員の離職が増えることもあるでしょうが、状況次第ではやむを得ません。ひとまず財務が持ち直す目途をつけその後に少しずつ理想の組織へと改めていけばいいでしょう。資金が流出しているなら、まずは“止血”根本治療はその後に始める。まさに応急処置の段取りです。

 

 

2. 仲間が見つかったタイミングで始める

一方、ここまで切羽詰まっていない医療機関なら、進め方とタイミングはもう少し異なります。

まず重要なのは「仲間が見つかっているかどうか」です。組織を動かすのを一人で成し遂げるのはできません。

一緒にいいね!と言って進めてくれる仲間がいるかどうか。着任して早々にそのような仲間は見つかりません。

口では前向きでも実行しない人、周囲からの信頼が薄い人では意味がありません。

こうした“仲間探し”には、3か月から半年ほどかかると考えています。その間に、一緒に動ける仲間を見つけ、チームの雰囲気を少しずつ高めていく。そうしてはじめて、改善や改革を進める土壌が整います。

 

もし長年その組織にいる方で、既に仲間がいるなら、このフェーズは飛ばして構わないでしょう。

あるいは、既にそういう仲間のいるところに自分が入る場合も、すぐに実行に移せるでしょう。

いずれにせよ、経営改善や変革の道中には必ず“つらい場面”が訪れます。その時、一人では継続が難しい。

共に戦える同志が見つかっているかどうかが、スタートする時期の見極めポイントです。

 

経営改革を始める初期段階で筆者が勧めないのは、「各部署に一斉に改善案を募る」ことです。

新任の管理職が院内から広く意見を集める手法をとりがちですが、この時点では“実行が次々とできる組織文化”まで醸成できていないのが普通です。山のように上がってきた改善点を前に、結局やり切れないまま1~2年が過ぎ、「聞くだけ聞いて大して改善しない」という評価になりかねません。まずは小さくても確実に実行した実績を積むこと。小さな改善の積み重ねの中で仲間は増え、土壌が整います。

 

 

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