2022.06.14
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有料老人ホームの健全な発展に向けた支援体制を強化

協会・団体インタビューvol.5 公益社団法人全国有料老人ホーム協会

協会・団体インタビューvol.5 公益社団法人全国有料老人ホーム協会

 

編集部より

有料老人ホームの歴史が70年以上にのぼることをご存じでしょうか。公益社団法人全国有料老人ホーム協会(略称:有老協)は、老人福祉法に規定された唯一の団体として、多種多様化している有料老人ホームの中から自分に合った住まいを選択する高齢者のサポート役を担っています。また、事業者向けにBCPモデルの作成をはじめとした運営支援を行っています。有料老人ホームの健全な発展を目指しさまざまな取り組みを実践する、同協会事務局長の渡邉潤一さんにお話を伺いました。

 

取材・文/松崎 純子

撮影/山本 未紗子(株式会社BrightEN photo)

編集/メディカルサポネット編集部

 

公益社団法人全国有料老人ホーム協会 事務局長 渡邉潤一(わたなべ・じゅんいち)

事務局長 渡邉潤一(わたなべ・じゅんいち)

2009年(平成21年)4月に入社し、2019年(令和元年)10月から事務局長を務める。

 

 

入居者保護のための幅広い活動に注力

 

――協会の設立経緯について教えて下さい

 

有料老人ホームの歴史は古く、始まりは70年以上前にさかのぼります。

 

1950年頃~:地方公共団体・社団法人・社会福祉法人などによって開設

1963年:老人福祉法が制定され、有料老人ホームに法的な位置付け

1974年:厚生省(当時)によって有料老人ホーム設置運営指導指針が定められる

1980年:東京都西多摩郡の有料老人ホームが多額の負債をかかえて倒産した事件が発生

国が有料老人ホーム問題懇談会を設置し提言を発出

1982年2月:社団法人全国有料老人ホーム協会設立(主務官庁:旧厚生省)

2013年:公益社団法人全国有料老人ホーム協会となる

 

当協会は単なる事業者の仲間的利益を図る団体ではなく、公益性の高い団体として、有料老人ホーム事業の健全発展と入居者保護のための幅広い活動を行うことが定款で定められています。

 

公益社団法人全国有料老人ホーム協会 事務局長 渡邉潤一(わたなべ・じゅんいち)

 

 

 

――入居者・事業者双方への支援に力を注いでいらっしゃいますが、どのような軸で活動されているのでしょうか?

 

主なサポートとしては「入居者保護」「入居検討者への情報提供」「事業者の運営支援」の3つを柱としています。

 

入居者保護事業として、入居者生活保証制度・入居者生活支援制度の運営や、苦情対応委員会の事業として苦情相談を受け付けています。入居検討者への情報提供事業では、入居相談や、有料老人ホームへの理解を深めていただくため、冊子「有料老人ホームの基礎知識」や会員情報誌「輝・ニュース」の発行などの情報発信を行っています。

 

事業者への運営支援事業としては、有料老人ホーム事業にかかわるさまざまな調査研究、入居契約書等の各種ガイドラインの策定、ホーム全体のレベルアップを目的とした職員研修の実施、サービスの質の確保・向上を目的とした第三者評価事業などを行っています。

 

また、自治体との連携として、全国の自治体が実施する事業者向け研修や集団指導への講師派遣や研修業務の受託、当協会ホームページやメールマガジン等で情報発信する等自治体の指導監督業務のサポートを行っています。

ほかにも、高齢者の皆様に元気を届けることを目的に2000年より開始した「シルバー川柳」は大変好評で毎年実施しています。

 

2022年3月末時点での会員数は431 法人。会員の運営ホーム数では約 2600です。協会が会員に求めるのは、入居者保護の観点から、安定経営と事業の継続性です。そのための運営支援をさまざまな形で行っています。

 

公益社団法人全国有料老人ホーム協会 事務局長 渡邉潤一(わたなべ・じゅんいち)

 

 

 

自然災害BCPモデルの作成をサポート

 

――昨今増えている自然災害について、有料老人ホームでも対策の必要性が増していますが、そこへのサポートも行っていますね

 

昨年度は災害等へ対応するため、感染症や自然災害に対するセーフティネットの構築に注力してきました。特に自然災害対策については有料老人ホームBCPモデル(事業継続計画)」を作成し、公表するとともに会員に作成支援を行っています。これまでは、個別対応してきましたが限界があり、

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