2022.04.28
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新制度創設で高齢者住宅紹介事業の透明性と質の向上へ

協会・団体インタビューvol.4 高齢者住まい事業者団体連合会

協会・団体インタビューvol.4 高齢者住まい事業者団体連合会 

 

編集部より

超高齢社会を迎え、高齢者が入居できる有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅等が増加する一方で、高齢者向け住まいの探し方・相談場所・注意点などの情報は整っているとはいえない状況にありました。また、高齢者向け住宅を無料で紹介する事業者も多く存在しますが、運営実態が見えにくい課題があり、そのような課題解決に向けて2015年4月に高齢者住まい事業者団体連合会(以下:高住連)が発足し、活動を続けています。「高齢者向け住まい紹介事業者届出公表制度(以下:届出制度)」を創設し、高齢者向け住宅紹介事業(以下:紹介事業者)の質の向上に取り組む同連合会の代表幹事である市原俊男さんと事務局長の光元兼二さんにお話を伺いました。

     

取材・文/松崎 純子

撮影/山本 未紗子(株式会社BrightEN photo)

編集/メディカルサポネット編集部

 

 

市原 俊男(いちはら・としお)/写真右

高住連 代表幹事/株式会社サン・ラポール南房総 代表取締役(一般社団法人全国介護付きホーム協会 常任理事)

慶応大学経済学部卒 株式会社第一勧業銀行(現・株式会社みずほ銀行)入行を経て現職。公益社団法人全国有料老人ホーム協会の理事長を3期6年、副理事長職を6期12年務め長く同業界に貢献。

 

光元 兼二(みつもと・けんじ)/写真左

高住連 事務局長/公益社団法人全国有料老人ホーム協会 企画部長

北海道大学工学部卒 日本火災海上保険株式会社(現・損害保険ジャパン株式会社)入社。2016年から介護事業に携わり、2020年から業界団体へ出向。

 

 

高齢者向け住まい紹介事業の健全な発展を目指す

  

――複数団体の連合体で活動していらっしゃいますが、そのメリットはどのような点にありますか?

 

市原:各団体が活発な活動を展開していますが、介護・医療サービス提供のあり方の研究や、地域包括ケアシステムにおける高齢者住まい・サービスの地位向上・確立、従事者の確保及び育成など、取り組むべき課題の共通点も多くあります。特に過去最大のマイナス改定と言われる2015年の介護報酬改定をきっかけに、論点が同じものについては、課題や情報共有をしています。

 

光元:高齢者の住まいに関する業界団体は、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅など、住宅の種類ごとに存在しています。そのため、国や消費者に対して分かりやすいアピールをすることが難しいという懸念がありました。高齢者向け住まいの連合体としてのメリットを活かし、高齢者向け住まいに関する消費者向けパンフレットの作成高齢者向け住まいに関する調査研究事業国や行政等に対する政策提言などに力を注いでいます。 

 

 

――高齢者向け住まい紹介事業者届出公表制度を創設されたそうですね

 

市原有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などの、高齢者向けの住まいを探している人に対して、無料で紹介する事業者のことを「紹介事業者」といいます。令和元年度老人保健健康増進等事業「高齢者向け住まい等の紹介の在り方に関する調査研究事業」での議論を踏まえ、紹介事業者の運営の透明性と質の向上を目指し、高齢者向け住まい紹介事業者届出公表制度を創設しました。できるだけ多くの紹介事業者が届け出るよう促すことで全容を把握するとともに、事業の健全な発展を目指していきます。

 

 

 

 

高齢者向け施設の実態把握と情報公開でベストマッチを実現

 

――紹介事業者が増えた要因は何でしょうか?

 

市原近年、高齢者向け住まいが増加及び多様化しています。入居するための条件や料金体系、利用可能なサービスなどが異なり、情報は開示されていてもご本人やご家族の要望を満たした住まいなのかどうかがわかりづらくなっています。また、ケアマネジャーや医療機関などが各ホームの特徴や空き状況などを細かく把握することが難しくなっています。そのようなニーズに応える形で、入居相談・情報提供を行う紹介事業が拡大しています。

 

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