編集部より

病院の事務長藤井将志さんが、実務者目線で病院経営を時に辛口解説する今シリーズ。

今回は、「特定の業務を特定の誰かに依存せず、仕組み化して誰でもできるようにするべき」という組織文化は、果たしてこのままでも良いのか?についてご紹介します。

藤井さんは、変化のスピードが急速となった現代においては、人依存でも進めた方がいいのでは?と考えるようになったそうです。その考えに至るようになったプロセス、そして、AIを活用した人依存の具体的な活用法の数々にもご注目ください。

 

執筆/藤井将志(特定医療法人谷田会 谷田病院 事務部長 藤井将志)

編集/メディカルサポネット編集部

  

  

1. 特定の人に依存した業務はおかしい 

ITや医事、経理などで、知識や経験が豊富な”特定の誰が”に依存するのはよくない、という話になることがあります。会社組織として、特定の業務が誰かに依存するのは望ましくなく、仕組み化して誰でもできるようにするべきでしょう。筆者も以前はそう思って、組織作りやジョブローテーションをさせてきました。

 

一定期間で人事異動がある組織では「自分はできるけど、ここで自分が頑張りすぎると、次に着任する人ができなくなるからやりません」という意見に遭遇することが多々ありました。その人の能力を発揮させない理由に「人依存させないようにするため」というのはいかがなものか?と考えるようになりました。

 

事例で考えてみましょう。これまでプリンターやパソコンが動かないといったことに対応するようなシステム部だったけど、そこに、プログラミングまでできる人材が入ってきて、いろいろな業務改善が始まりました。

 

しかし、それができる人材はその人しかおらず、それでいいのか?その人がいない時、いなくなった時にどうするのか、という課題が投げかけられます。組織内で教育して、同じようなスキルを身につけた人材を増やす、というのが一つの方法でしょうが、いくら教えても“同じ人”ができる訳ではないので、やはりその人に依存しがちです。

 

では、それを避けるために、システム部の業務をプリンター修理に限定すべきなのでしょうか?

これは、ITの事例ですが、医事課や診療科、役職者などあらゆるケースで発生する可能性があります。 

 

2.人依存でも進めた方がいい時代

これまでこの課題に悩んできましたが、筆者が今のところ辿り着いているのが、たとえ特定の人に依存したとしても、最短でできるだけ多くの能力を発揮してもらうべき、だと考えています。

  

 

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