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編集部より

病院の事務長藤井将志さんが、実務者目線で病院経営を時に辛口解説する今シリーズ。今回は医療機関の悩みのひとつである人材不足について解説します。現場から「人手が足りない!」と声が上がることは多いかと思いますが、果たしてその際、単に人員を補充すれば問題は解決するのでしょうか?その前に向き合うべき業務改善について、ポイントを紹介します。

  

執筆/藤井将志(特定医療法人谷田会 谷田病院 事務部長 藤井将志)

編集/メディカルサポネット編集部

  

  

1.人を増やすことで忙しさは解消するのか

 

悩んでいる医療従事者たち

 

管理職なら誰しもが言われたことがある言葉の一つが「人が足りない」でしょう。どんな職場でも、人がたくさんいて充足している、と考える人はおらず、どこでも人が足りないと言われます。

たとえ患者当たり職員数や、病床当たり職員数が、他院と比べて高いところで、客観的には職員数が多いようなところでも、現場からは必ず人が足りないという声はなくなりません。

 

さて、このような時にどのように対応したらいいのでしょうか?

以下は答えではありませんが、筆者がどうやっているかを参考までにお伝えします。ただし、大前提として、医療機関の運営には施設基準がつきもので、それを下回る人員不足については問答無用で増やさないとなりません。その基準を超えている前提でお伝えします。

 

まず、「忙しい」を解決する方法は人を増やすことではない、と伝えています。

人を増やすとその分管理の時間も増えますし、コミュニケーションも複雑化します。ある業務を対応するスタッフ数が倍増すれば、一人当たりの業務が半減するのでしょうか。

確かに数字上はそうなりますが、そのスタッフ間の調整業務が新規に発生するので、業務量が単純に半分にはなりません。このことをしっかり伝えてないと、ことあるごとに人を増やせ!と言われてしまいます。

  

人を増やしたい理由が忙しさや残業の多さであるのなら、まずやらないといけないのは業務改善です。業務プロセスを改善することで忙しさは解消されるはずです。

 

そこに取り組まずして人を増やしていては、いつまで経っても忙しさは解消しません。穴の開いたバケツに水を入れ続けているようなもので、水が一杯になることはありません。

    

2.業務改善をすることが先決

 

勉強会をする医療従事者

 

事例を二つ紹介します。

 

当院で入浴業務が逼迫しているから人を増やして欲しいという話がありました。看護師まで入浴にかかりきりだと言うのです。それは大変だということで、人の補充は進めていくのですが、合わせて業務内容のヒアリングも実施していきました。

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