2019.03.19
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ダニアレルギー対策として布団の天日干しは正しい方法か?

メディカルサポネット 編集部からのコメント

花粉症の人は洗濯物や布団を外干ししない、布団に掃除機をかける時はゆっくり動かす……主婦・主夫にとっては当たり前の家事のルールで、家電売り場でも説明される内容ではありますが、あらためて医師の立場からお墨付きがありました。生活の知識は改めて眺めると科学的にも根拠があるものですね。ちなみに、日当たりの良い窓辺でガラス越しに天日干しすると、花粉が多い日でも気持ち良く眠れます。また、布団用の掃除機ノズルや、部屋干し専用の洗剤や柔軟剤もオススメです。

 

天気の良い日(快晴の日)に寝具,特に布団を干すことが一般的に行われていますが,アレルギー対策の視点からそのメリット・デメリットについてご教示下さい。(山梨県 K)

【回答】

【天日干しにデメリットはないが,掃除機掛けのほうが重要】

 

ダニアレルギー対策の視点からすると,最も重要なのは寝具の掃除機掛けです。一般に1m2に対して20秒以上かけてゆっくり吸引するのが良いとされています。寝具の天日干しで寝具の湿気を抑えることはできますので,天日干しにはある程度メリットがあると言えます。しかし,それには,ダニを死滅させるほどの効果はありません。また,アレルゲンとなるのはダニの死骸や排泄物ですので,ダニを死滅させるだけでもアレルゲン対策としては不十分です。したがって,寝具のダニアレルゲン対策としては,布団カバーは週に1回以上丸洗いし,布団は週に1回以上天日干しした後,布団表面の掃除機掛けを行う,というのが基本となります※1)。

 

ダニアレルギー対策として,布団の天日干しには特にデメリットはありません。しかし,干したときに布団たたきなどを行い,その後に掃除機掛けをしなかった場合は,ダニアレルゲンが舞い上がりやすくなり,むしろ逆効果であると言われています。

 

一方,ダニアレルギーではなく,重度の花粉アレルギーがある患者の場合は,原因花粉が多い日に布団の天日干しを行うと,布団に花粉が付着して花粉症が悪化する可能性があるので,避けたほうがよいとされています※2)。指導の対象となる患者が,ダニアレルギーが強いのか,花粉アレルギーが強いのか,なども考慮しながら,ご指導頂くとよいと思います。

 

【文献】

1) 谷口正実, 他, 監:吸入性アレルゲンの同定と対策. メディカルレビュー社, 2014.

2) 鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会, 編:鼻アレルギー診療ガイドライン─通年性鼻炎と花粉症─2016年版(改訂第8版). ライフ・サイエンス, 2015.

 

【回答者】

福冨友馬 国立病院機構相模原病院臨床研究センター 診断・治療薬開発研究室室長

 

 

出典:Web医事新報

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