2019.01.21
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医療保険制度関連法案の概要が提示―ICT化支援の基金、被扶養認定の国内居住要件追加など

メディカルサポネット 編集部からのコメント

日本の医療レベルは世界的にも高水準。外務省は、日本での治療や人間ドッグを目的として訪日する外国人患者やその同伴者に対し医療滞在ビザを発給しています。なお、日本の公的医療保険に加入していない外国人患者が日本で受診を希望される場合、安全な医療を提供する観点から、医療渡航支援企業のサポートの手配を求められることがあります。外国人労働者として日本で就業した場合、健康保険に加入することが可能となり、扶養家族も給付を受けることができます。このような状況を踏まえ、厚生労働省は 医療保険の適正な利用の確保に向けた「原則として国内に居住しているという要件を導入する」法案を、1月17日に開催された第117回社会保障審議会医療保険部会で提示し、通常国会に提出することを発表しました。

 

厚生労働省は17日の社会保障審議会医療保険部会に、医療保険制度関連法案の概要を示した。医療保険のオンライン資格確認の導入に向けた基金の創設などが柱。1月末に召集される通常国会に提出する。

法案では、医療機関がマイナンバーカードを用いたオンライン資格確認を円滑に導入できるよう、「医療情報化支援基金」を創設し、システム整備の費用を補助する。国が指定する標準規格を用いた電子カルテを医療機関に導入する際の初期経費も支援する。厚労省は基金の財源として2019年度予算案に300億円を計上。地域医療介護総合確保法を改正し、19年10月の施行を目指す。

健康保険法等の改正では、外国人労働者の受入れ拡大に備え、健保の被扶養認定の要件に「国内居住」を追加。生活の拠点が日本にない親族までが給付を受けられるといった現状の課題に対応する。いわゆる「医療滞在ビザ」で来日して国内に居住する者も適用対象から外す。海外居住者であっても、留学生や海外赴任に同行する家族などは例外的に被扶養者として認める。

法案ではまた、社会保険診療報酬支払基金の組織統制を強化するため、都道府県支部を廃止し、本部の事務執行機関となる審査事務局を設置。職員によるレセプト点検業務の実施場所を全国10カ所程度に順次集約し、審査結果の不合理な地域差の解消につなげるとしている。

このほか、国の医療保険と介護保険のレセプトデータベースについては、連結解析と行政・研究機関等への提供を可能とする。高齢者のフレイル対策に向けては、市町村が高齢者1人1人の医療・介護情報を一括把握し、保健事業と介護予防事業の一体的な実施を促す。

 

厚労省から医療保険制度関連法案の説明を受けた17日の医療保険部会

         

 出典:Web医事新報

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