2018.07.12
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国立大病院、経常利益が18億円減
~17年度決算

メディカルサポネット 編集部からのコメント

2017年度の決算概要によると、2017年度の国立大病院の経営利益が約18億円減少しています。診療機能の強化などによって病院の収益は増加していますが、消費税の補てん不足や高額医薬品などの使用、看護職員などスタッフの増加で診療経費が増加しているのが原因です。「増収・減益」の傾向に対する見直しが求められます。

 

国立大学附属病院長会議の常置委員会は9日、定例記者会見を開き、2017年度の決算概要を公表した。回答した45病院の経常利益は約296億円だったが、約314億円だった16年度に比べて約18億円減少した。【越浦麻美】

 

国立大病院の決算概要について説明する山本常置委員長(9日、東京都内)

 

45病院の17年度決算は、平均在院日数が短縮したことや高額医薬品を使用した患者が増加したことなどにより、病院の収入が約1兆1040億円(前年度比3.8%増)、運営費交付金は約1216億円(同1.0%減)などとなり、総収益は約1兆3006億円(同3.4%増)だった。

 

一方、看護職員などスタッフの増加によって人件費は約4900億円(同2.9%増)、医薬品や材料などの診療経費は約7221億円(同4.3%増)などとなり、総費用額は約1兆2710億円(同3.6%増)で、経常利益は約296億円となった。

 

診療機能の強化などによって収益は増加しているが、消費税の補てん不足や高額医薬品などの使用で診療経費が増加した。現状のままでは、「増収・減益傾向」の継続が想定されることから、山本修一・常置委員長(千葉大医学部附属病院長)は同日の会見で、より一層「増収・減益」の傾向が強くなっていると危機感をあらわにした。

 

国立大学附属病院長会議の試算によると、診療業務に必要な薬剤や医療機器などにかかった17年度の国立大学附属病院での消費税額は541億円だったが、そのうち234億円が補てんされていない。このまま19年10月に予定されている消費税率引き上げが行われれば、年間での補てん不足がさらに100億円以上増えると見込んでいる。

 

これについて、山本常置委員長は、「経営が成り立たないことは明白」とし、「抜本的な見直しを強く求める」と述べた。

 

  
出典:医療介護CBニュース

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