2020.02.10
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vol.1 看護職員の有給休暇取得率を向上させるためには?

5分で読めるポイント解説 看護師労働実態調査

2019年4月から労働基準法が改正され、雇用主側は、年間10日以上の年次有給休暇(以下、有休)が付与される職員に対して、
基準日から1年以内に最低5日、有休を確実に取得させることが義務化されています。
法改正のポイントは、有休の消化日数が5日未満の場合には、雇用主側が職員の意見を聴取した上で、日にちを指定して取得させなければならないという点です。
 
業務に支障をきたすことなく、職員の希望どおりに有休を付与するためには、どのような工夫が必要になるのでしょうか。
「マイナビ看護師」のご登録者を対象に、労働実態などのアンケートを実施し、その調査結果をまとめた「看護師白書2019年度版」のデータをもとに、取り組み事例から有給休暇取得義務化の対策について考えていきます。
 
編集・構成/メディカルサポネット編集部

 

有給休暇の取得状況 

以下は「看護師白書2019年度版」における、有休に関する調査結果です。

 

 

有休の取得状況を見ると、全体の4割弱(39.1%)の方が有休を取れていないと感じていることが分かります。

一方、「希望どおり取れている(19.8%)」または「だいたい希望どおり取れている(31.8%)」と回答した方の合計は、51.6%で過半数を占めています。

しかし、実際の取得日数は6割近く(57.3%)が「10日未満」と回答

また、「0日」と「20日以上」の回答がそれぞれ6.4%、6.5%あり、有休の取得日数には開きがあります。

調査結果から、勤続年数や所定労働時間によって付与されている日数は変わるものの、多くの看護師が有休を余らせていると考えられます。

 

有休が取れないという看護師からは、次のような意見があがりました。

▶有休の取得を希望したが、やむを得ない理由でない限りは取得できないと言われた。
▶有休を使用したら、精勤手当がカットされた。
▶有休を使用して、研修会に参加するように指示された。
▶人手不足で忙しく、有休の希望をなかなか言い出せない。

 

多忙な職場の雰囲気から有休の話題を切り出しづらいというケースや、経費や業務への支障を心配するあまり、看護管理者がつい威圧的になってしまうというケースも。

 

人材不足は多くの職場が抱えている深刻な問題ですが、就業先によって、有休の取得状況にも大きな違いがあるようです。

職員の有休取得率の高い病院・施設では、どのような取り組みが行われているのでしょうか。

 

 

有給休暇取得促進のための取り組み

以下は、有休が取れていると回答した看護師の声です。

▶誕生日休暇があったのは嬉しかった。普段、週休以外では子どもの急な発熱や、
 保育園の行事でしか休めなかったため、自分の時間として有効に使えた。(30代/女性)

▶年に1回、1週間程度のリフレッシュ休暇を取れる仕組みがあった。
 海外旅行にも行けて、帰国後はまた頑張って働こうと思えた。(20代/女性)

 

就業先に、有休を取得しやすい体制が整っていることがうかがえます。

「看護師白書2019年度版」に寄せられた事例から、看護師が有休を希望どおりに取得できている病院・施設で実践されている、共通の取り組みに注目しました。重要なポイントは次の2つです。

 

✔有休を取得しやすい雰囲気づくり

▶職員が気兼ねなく休みを取りやすいように、上司が率先して有休消化をしている
有休取得回数を表にして掲示し、職員の上下関係に関わらず有休を申請できるように

 看護師長が会議などで声がけをする。
「プライベートを充実させなければ、良い仕事はできない」という考えを看護管理者が発信し、職員で共有する。

 

✔有休中の職員の業務をサポートする仕組み

▶事前に有休を取る職員の業務を分担できるように、病棟会議などで話し合う
看護師でなくてもできる業務は看護助手に依頼するなど、看護業務がスムーズに行えるようにしておく。

▶職員が有休を取る際は、他の病棟の職員に応援に来てもらうヘルプ制度を設ける

 

まとめ

職員が良いパフォーマンスを保つためには、ワークライフバランスの充実がとても重要です。

アニバーサリー休暇や連続休暇を取れるような仕組みは、職員のモチベーションも上がります。

看護管理者からの積極的な有休取得の呼びかけと同時に、早めの申請を促すことで、

サポート体制を整える準備期間を作ることができそうです。

職員が有休について気兼ねなく話題にできるような雰囲気づくりを目指していきましょう。

 

 

↓全調査結果は、こちらよりダウンロードできます↓

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