2019.06.10
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ACPは「意思決定の実現を支援するプロセス」―老年医学会、医療関係者向けに提言

メディカルサポネット 編集部からのコメント

終末期にどのような医療・ケアを受けたいか―。元気なうちに家族や医師らと何度も話し合って治療方針を決めていく意思決定支援プロセス、ACP(事前医療・ケア計画)の取り組みが少しずつ広がっています。

日本老年医学会は高齢者医療・ケアを専門領域とする学会として、これを自らの喫緊の課題と認識し、全国の医療・ケア従事者に対して、日々の活用を視野に「ACP の推進に関する提言」を発表、第61回日本老年医学会学術集会シンポジウム2にて提言に至る背景と解説を行いました。本人の意向に沿ったその人らしい終末期の医療・ケアを実現し、尊厳のある人生をまっとうできるよう支援することを目標としています。

 

日本老年医学会は6日、医療・介護従事者がアドバンス・ケア・プラング(ACP)を行う上での倫理指針として用いることを想定した「ACPの推進に関する提言」を発行した。英語圏でも解釈に幅のあるACPを「将来の医療・ケアについて、本人を人として尊重した意思決定の実現を支援するプロセス」と定義。医療・ケアチームの役割に関しては、本人・家族等との対話を通じて「本人の価値観・意向・人生の目標などを共有し、理解した上で、意思決定のために協働することが求められる」としている。

 

提言では、ACPの主体は「医療・ケアを受けるすべての人」としつつ、長寿社会の日本では主体の多くは高齢者であると指摘。高齢者は、がんであるか否かを問わず、通院先あるいは入院中の医療機関でACPを開始すべきとし、医療を受けていなくても要介護認定を受ける頃までには「開始することが望ましい」とした。施設入所者については「直ちに開始すべき」とし、既に意思表示が困難となっている状態でも「開始を考慮すべき」とした。

 

ACPにおける本人・家族との対話は、意思の変化を予測した上で複数回実施を基本としつつ、あくまで回数ではなく“質”を問題にすべきとしている。また、「ACPは『行う』ものであり、『取る』ものではなく、『書く』ものでもない」と強調する一方で、対話の内容を記録することは医療・ケアチームのカンファレンスや療養場所が変わった場合の引継ぎの際に重要であるとしている。

 

   

出典:Web医事新報

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