調査概要
■ 調査目的:マイナビのサービスにおける入職前辞退(内定承諾後の辞退)、早期退職(入社から90日以内の自己都合退職)の実態を把握し、今後の定着施策における一助とする
■ 調査対象:2017年10月1日~2018年9月30日までの1年間において、 「マイナビコメディカル」「マイナビ介護職」の人材紹介サービスを介して転職した方のうち、入職前辞退、早期退職になった事例
■ 調査地域:全国
■ 調査方法:弊社キャリアアドバイザーに聞き取り調査
■ 調査機関:マイナビ調査(紹介事業本部 事業推進統括本部 メディカル事業運営部)
※本データは入職前辞退理由・早期退職理由を入職予定者・入社者からキャリアアドバイザーにご申告頂いた内容を元に作成しています。また、複数の理由を挙げられた場合であっても、主な理由の一つを挙げて集計しています。
※なるべく本音を探り出すようにしていますが、本音と建前が異なるケースがあることは予めご了承ください。
▼目次
1.入職前辞退理由/1位「本人事情」
2.入職前辞退者の分析
3.早期退職理由 /1位「聞いていた話と違う」
4.早期退職者の分析
5.入職前辞退・早期退職防止のための対応策事例
1.入職前辞退理由/1位「本人事情」
入職前辞退となってしまったケース
・妻が妊娠したため、病院の送迎が必要となり、しばらく常勤で働くのは難しくなった。(介護職員初任者研修)
・祖母の体調が悪化し、自宅で介護が必要となったため、転居を伴う転職を見送ることにした。(言語聴覚士)
・結婚を機に、今後の子育てや両親の介護も見据えて、実家の近くに転居することになった。(理学療法士)
・入職2カ月後以降に法人内異動が発生する可能性があり、家族から転職を反対された。(介護福祉士)
・就業先近くに転居予定だったが、父の体調が悪くなり、転居を取りやめた。(作業療法士)
・結婚して夫の実家で同居した。夫は働くことを応援してくれたが、義母から働くことを反対された。(介護職員初任者研修)
・父の体調不良を理由に、急遽、家業を継ぐことにした。(介護職員実務者研修)
・子どもの保育園の関係で、日曜・祝日の勤務が難しくなった。(理学療法士)
■入職前辞退理由/2位「体調不良」
・現職の勤務が多忙な中、転職活動を行っていたため、精神的につらくなった。転職への気持ちが薄れ、家族と相談の結果、転職を見送ることにした。(介護福祉士)
・入職前のオリエンテーションに参加したところ、社会保険について不安になった。また、入職前日に吐血し、出社することができなくなり、治療に専念することにした。(介護支援専門員)
・現職が激務のため、うつ病を発症してしまい、医師から就業を止められた。(理学療法士)
・入職前の健康診断で病気が発覚。家族と相談の上、治療に専念することにした。(介護職員初任者研修)
・現職の退職交渉が難航し、精神的に疲れてしまった。体調を崩す日が続き、転職への気持ちが薄れ、現職に留まることにした。(作業療法士)
・腹部の痛みが続き検査に行ったところ、病気が発覚。手術が必要となったため、入職を取りやめることにした。(介護職員初任者研修)
<ポイント>入職予定者に不安を抱かせないことが大切
上記のような理由に加えて、入職予定先から入職直前まで連絡がなかったため、「忘れられているのでは…」「歓迎されていないのでは…」などといった不安を抱いたことが引き金となったケースも少なくありません。
■入職前辞退理由/3位「転職軸の変更」
・精神保健福祉士として働くことへの懸念が払拭しきれないまま転職活動を進めていたが、現在の職場から「精神保健福祉士として勤務が難しいようであれば、事務職として残らないか」と提案を受けたので転職をやめることにした。(精神保健福祉士)
・一般職から介護職に転職する上で、年収が200万円ほど下がることが不安になった。(介護初任者研修 ※資格取得見込み)
・訪問リハビリにチャレンジしたいという思いから転職活動を行っていたが、訪問リハビリで働いている先輩から詳しい話を聞き、病院で働きたいという思いが強くなった。(理学療法士)
・給与よりも休みを重視して入職先を決めたが、子どもが習い事を始めることになり、給与を落として働くことは難しいと思った。(理学療法士)
■その他の入職前辞退理由
・入職前の連絡が遅いことや電話連絡時の対応に不信感が強まった。また、入職前に配属先のリハビリ長が辞められたという話を聞き、不安になった。(作業療法士)
・入職前の手続きで転職先に訪問した際、採用条件通知書に記載があった家族手当が、今年から付与されないことが判明した。(介護職員初任者研修)
・現職の異動を理由に転職活動を行っていたが、急な退職者が出たため、異動がなくなった。さらに、残留を条件に昇給となったため、転職をやめた。(介護支援専門員)
・立ち上げの部署に配属となり不確定な部分が多い上に、入職1カ月前になっても転職先から連絡がなく、不安になった。家族と相談の上、家庭と仕事の両立のためにも転職活動は行わず、現職を続けることになった。(理学療法士)
・入職前の面談時に採用担当者が入職日を把握していないことに不信感を覚えた。(介護福祉士)
2.入職前辞退者の分析
転職先決定日から入職日までの期間
入職前辞退率が低い法人・企業様は、入社確定後の早いタイミングで入職予定者へ連絡をされる傾向にあります。また、入職までに期間がある場合は、定期的に入職予定者へ連絡を取り、入職への意欲を高める工夫をされてます。入職前辞退や早期退職でお困りの方は、ぜひ「入職前辞退・早期退職防止のための対応策の事例紹介」をご参照ください!
【転職先決定日から入職日までの期間】
<ポイント>入職確定後、早いタイミングで入職予定者へ連絡を
入職前辞退率が低い病院・企業様は、入職確定後の早いタイミングで入職予定者へ連絡をしている傾向があります。また、入職までに期間が開いてしまう場合は、定期的に入職予定者へ連絡を取り、入職への意欲を高める工夫をされています。ぜひ「入職前辞退・早期退職防止のための対応策の事例紹介」をご参照ください。
3.早期退職理由 /1位「体調不良」
早期退職となってしまったケース
・転職先の忙しさから、強迫性障害になった。(介護初任者研修)
・入職初日から職場環境が変わったストレスで体調を崩してしまい、うつ病を発症。メンタルクリニックに通っているが体調が回復しないため、治療に専念することにした。(介護福祉士)
・仕事のミスから偏頭痛が続き、電車での通勤が難しくなった。理学療法士として働く自信を失った。(理学療法士)
・転職先の人間関係が原因で、うつ病を再発。転職先はフォローしてくれたが、研修2週目以降、欠勤が続き、勤務が難しくなった。(理学療法士)
・入職後すぐに病気が発覚。手術が必要となるため、退職せざるを得なくなった。(作業療法士)
・教育担当者から「それ前も言ったよね?」「なんでできないの?」と強い口調で指導されることが多く、ちゃんとしなければと思えば思うほど空回りしてしまい、出社できない日が続いた。医師からうつ病と診断されて、勤務を続けることが難しくなった。(作業療法士)
・勤務中にトランス(移乗)で失敗してしまい、通勤中に精神的に不安定になってしまった。(介護職)
■早期退職理由/2位「ついていけない」
・現在は3人体制だが、入職早々に1人が産休に入るため、早期戦力化を期待されることがプレッシャーになった。また、覚える内容も多く、続けていくことが難しい。(社会福祉士)
・新しい環境に馴染めないことや、前職と仕事の手順が違うことから、全てが中途半端になっていることにストレスを感じた。誰かに相談できる精神状態ではないため、治療に専念することにした。(理学療法士)
・前職と転職先との仕事のやり方の違いから、ミスを起こしてしまい、利用者からクレームを受けてしまった。他職員にも迷惑をかけてしまい、職場に居づらい雰囲気になってしまった。(介護福祉士)
・経験年数が浅いため、対応人数を減らしてもらったが、それでも知識・スキル不足から仕事についていけなかった。(介護職員初任者研修)
・周りの職員は経験豊富な方ばかりでプレッシャーを感じた。丁寧に指導してもらっていたが、習得するのに時間がかかってしまい、焦りを感じていた。「ゆっくりね」と応援されることが気を遣われているようで、相談しづらかった。(作業療法士)
<ポイント>早期退職理由は複合的な要因によることが多い
本順位は、早期退職の「主要理由」のみをカウントした集計結果です。ただし、実際にはスキル不足を感じつつ、体調不良に陥ってしまう・・・といったように、複合的な要因によるものが多いことにも留意する必要があるでしょう。
■早期退職理由/同率3位「聞いていた話と違う」
・面接時には、ほとんど残業はないと聞いていたが、働いてみたら1日1時間の残業が基本だった。子どもの保育園の迎えに間に合わないため、勤務の継続が難しかった。(介護福祉士)
・重症児童へのリハビリが中心と聞いて入職したが、実際は成人女性も多かった。男性の自分には不向きと思った。(理学療法士)
・面接時に夜勤回数は月4回程度と聞いていたが、2人退職者が出たため、夜勤回数が月6回程度になった。4月まで欠員補充が難しいことから、継続的な勤務が難しいと感じた。(介護初任者研修)
・1日の介護職員の人数が、面接で聞いていた人数よりも少ない。また、中途入職者にも新卒者同様にプリセプターを配置すると聞いていたが、経験者であることから入職翌日から1人で利用者対応を任されて、不安を感じた。(介護実務者研修)
・入職前のオリエンテーション時に、研修は勤務時間内で月1回程度と聞いていたが、実際には勤務時間外に実施されていることがわかった。(作業療法士)
・デイサービスでの配属が可能と聞いて転職したが、入職1カ月後に訪問リハビリへの異動の打診があった。入職前と聞いていた条件が違い、会社に不信感を抱くようになった。(理学療法士)
・介護支援専門員として入職したが、実際は食事介助や病院への通院同行が中心で介護支援専門員の業務に携われなかった。(介護支援専門員)
■その他の早期退職理由
・妊娠の計画はなかったが、入職後に妊娠が判明。入職して間もないことから家族とも話し合い、出産準備に専念することにした。(理学療法士)
・休みの日と重なる勉強会に無給扱いで出勤しなければいけないので、休むことができない。(言語聴覚士)
・職場にマニュアルがないため、教育担当者によって指示が異なる。(介護福祉士)
・中途入職予定者にプリセプターがつかず、わからないことを聞けない雰囲気がある。(理学療法士)
・プライベートな情報まで職員に共有されていた。職員の個人情報が適切に管理されていなかった。(介護職員実務者研修)
・土日のどちらかを休みにしてシフト希望を提出したところ、「独身者は土日の休み希望は通らない」と言われ、不平等だと感じた。(介護初任者研修)
・結婚を見据えて転居を伴う転職をしたが、破局してしまったため、実家に戻ることになった。(介護支援専門員)
・祖父の認知症が悪化し、自宅での介護が必要となった。(作業療法士)
・急遽、夫の転勤が決まり、転居することになった。(介護初任者研修・取得見込み)
・院長先生が医療事務の職員に対し、厳しい口調で怒鳴ることがあり、職場の雰囲気が悪かった。(医療事務)
・転職先の職員同士がプライベートでも仲が良く、輪に入りづらい。職場の雰囲気が自分に合わなかった。(言語聴覚士)
・プリセプターとの関係が悪化し、職場に居づらい雰囲気になってしまった。(理学療法士)
・勤続年数が長い職員から、新人への対応が悪く、退職者も多い職場であると他職員から聞き、不安を抱いた。(介護初任者研修)
・リハビリ長との仕事の方針の違いから、継続的な勤務が難しいと感じた。(理学療法士)
・人事からは残業しなくても良いと言われるが、仕事量が多すぎてなかなか帰れなかった。(介護福祉士)
4.早期退職者の分析
1.転職先決定日から入職日までの期間
■入職日から退職日までの期間
<ポイント>入職確定後、早いタイミングで入職予定者へ連絡を
入職前辞退・早期退職率が低い病院・企業様は、入職確定後の早いタイミングで入職予定者へ連絡をされる傾向にあります。また、入職までに期間がある場合は、 定期的に入職予定者へ連絡を取り、入職への意欲を高める工夫をされています。 ぜひ「入職前辞退・早期退職防止のための対応策の事例紹介」をご参照ください!
5.入職前辞退・早期退職防止のための対応策の事例紹介
採用戦略
・具体的な就業イメージを持ってもらえるように、施設の特徴や資格ごとの職員人数・年齢層などをホームページで公開している。また、普段の雰囲気を知ってもらえるように、仕事内容や1日の流れなども掲載している。実際に入職した人からは、「細かい情報があり、イメージができて入職後のギャップもあまりなかった」という声をもらっている。
・「採用」といっても応募者が知りたい情報は職種によっても異なるため、病院の採用ページに「セラピスト(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)採用ページ」を新たに設けた。そこで部署紹介や教育・研修制度、働いている職員のインタビューなど、セラピストが知りたい情報を発信するようにしている。
・残業時間や在院日数、重症度・介護度、資格ごとの人数体制などを数値化して、具体的に業務イメージが持てる資料を用意し、面接や職場見学、説明会で使用できるようにしている。また、ホームページ上にも掲載している。
・ホームページの情報や紹介会社の求人票をこまめに修正し、最新の情報を掲載するようにしている。
・他職種合同の「採用・教育チーム」を結成。チーム内には臨床心理士がおり、職員が個別相談できる体制を設けている。