2020.01.23
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新卒採用のススメ ~中小規模病院におけるメリット・意義~

そこが知りたい看護管理 vol.5

看護管理者がどのような思いでスタッフをまとめ、組織を運営しているのか、管理職以外の看護師からはなかなか見えにくい面もあります。大きな責任を背負う一方で、やりがいも大きい看護管理者という仕事にどのように向き合っていけばいいのでしょうか。
本コラムでは、看護管理者として複数の病院を経験し、現在は大学院博士課程で転職者教育の研究を進める森田夏代さんが、自身の経験を踏まえ、皆さんの看護管理の「知りたかった」に応えます。
コラム第5回目は、中小規模病院における新卒採用についてとりあげます。中小規模病院の多くが新卒採用に積極的ではありませんが、実はこんなにもメリットが!

執筆・写真/森田 夏代
編集・構成/メディカルサポネット編集部

そこが知りたい看護管理 森田夏代さん メディカルサポネット マイナビ 

  

皆さんの職場では新卒者採用を行っていますか?私が中規模急性期病院で人事採用を担当し始めた時は、ほぼ80%が経験者採用でした。また、近隣の看護部長さんとお話ししていても「うちは教育を行う設備や指導できる人はいないから新卒採用はしない」「新卒より経験者の方が、即戦力になるから」という声をよく聞きました。

さらに、ある看護部長さんから「看護協会は新卒採用を推奨しているけど・・・中小規模病院は本当に新卒者を必要としているのかしら?」というお話を伺うことがありました。

 

皆さんの考えは如何でしょうか?私の考えは、毎年1名でも良いので(看護管理者が受け入れ体制を整えて)新卒採用はした方が良いです。

今回は改めて、中小規模病院における新卒者採用のメリット・意義について考えてみたいと思います。

◆変わりゆく新卒者の就職意向

少し前のデータになりますが、2001年の大学協議会による調査では、4年生看護系大学を卒業後最初の就職先として

19%以上の学生が訪問看護事業所への就職を希望するという結果でした。また、その後の調査でも4年生看護系大学の学生は、卒業後(資格取得直後)の就職先に実習施設のような大病院ではなく、クリニックや中小規模病院への就職を希望する学生が年々増加傾向にあります。

 

調査結果を受けて、2013年には某県の大学と訪問看護事業所(看護協会関連)が協働で訪問看護事業所における新人採用プログラム(新人研修プログラム)を開発し、成果が出たことで全国規模で訪問看護事業所が積極的に新卒採用を行うようになりました。

 

実際に学生と話をしていると「大きな病院で厳しく教育を受けて看護師として成長するより、ゆっくり時間をかけて育てる余裕のある病院に就職したい。長く勤務できる施設に卒業後は就職したい。自分が産まれた、小さな病院に就職して地域に貢献して働きたい。」等という話を聞くことも多くなりました。

 

そこが知りたい看護管理 森田夏代さん 1月写真写真の個展に出品した思い出の作品。あえてモノクロとしました。

◆中小規模病院が新卒採用をためらう理由

日本看護協会の調査では、新卒教育が困難な理由の上位に以下を挙げています。

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