2018.02.15
5

遠隔診療ガイドライン、外来・在宅診療が対象に~厚労省検討会が大筋了承

メディカルサポネット 編集部からのコメント

厚労省主導による「情報通信機器を用いた診療に関するガイドライン(GL)作成検討会」の初会合で、厚労省案に対して強い反対意見は出ず、今後、示されるガイドラインの対象は「医師から患者に提供される『外来・在宅診療』」となりそうです。保険診療か自由診療かは問わず、GLに盛り込まれる項目は「適用の基準」「提供体制」「その他」に3分類されます。

厚生労働省は8日の「情報通信機器を用いた診療に関するガイドライン作成検討会」の初会合で、年度内に策定する予定のガイドライン(GL)の対象を、医師から患者に提供される「外来・在宅診療」とすることを提案し、大筋で了承された。同省では、3月上旬に開催予定の次の会合でGLの案を示す。【松村秀士】

テレビ電話などの情報通信技術を使った遠隔診療をめぐっては、2017年12月に閣議決定された「新しい経済政策パッケージ」で、安全性などを担保するため「必要なルールを包含するガイドラインを整備」し、年度内に公表するとされている。

これを踏まえ、厚労省は遠隔診療を行う際の必要なルールを検討し、17年度内にGLを策定するために検討会を立ち上げた。

8日の初会合で厚労省は、遠隔診療に関するルール整備に向けた論点を示した。GLの対象について、「医師対患者(DtoP)で行われる外来・在宅診療」とすることを提案。保険診療であるか、自由診療であるかは問わないとした。また、医師らが遠隔地の患者の医療や健康に関する相談を受ける「遠隔医療相談」の位置付けに、一定の基準を設けるべきかどうかの議論も促した。

さらに、GLには医師の責任や遠隔診療の限界などの正確な情報の提供、安全性や有効性に関するエビデンスに基づいた医療などについて記載。GLに盛り込む項目を、「適用の基準」「提供体制」「その他」に3分類する。

「適用の基準」では、薬剤処方・管理や診察方法、診療計画などを記載する。「提供体制」では、患者の受診場所や通信環境、プラットフォーム(端末)などを盛り込む。「その他」では、医師や患者への教育や遠隔診療の質の評価/フィードバック、エビデンスの蓄積などについて記載する。

厚労省案に対して強い反対意見は出なかった。山口育子委員(認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長)は、「原則、初診は対面。安全性が確保できれば、少しずつ認めるというように変えていくのがいい」と指摘。今村聡委員(日本医師会副会長)も、「今のところ初診は対面が原則。エビデンスが集まった上で(GLを)書き換えるべきだ」と述べるなど、多くの委員が原則として初診は対面で実施すべきだとした。

一方、島田潔委員(板橋区役所前診療所院長)は、「初診が遠隔診療でスタートしていいかどうかについては、へき地・離島と普通に医療機関にアクセスできる地域と分けて考えるべき」だとし、地域性などに配慮して初診に例外規定を設けるべきだと主張した。

このほか、「遠隔診療」という名称は遠く離れた場所での診療というイメージを想起させて実態に即していない場合があることから、情報通信機器を用いた診療の名称を「オンライン診療」とすべきだとの声が上がったほか、「適用対象に『DtoN(Nurse)toP』も入っていることを書いた方が分かりやすい」といった意見も出た。

厚労省の担当者は会合後、記者団に対し、「遠隔診療ガイドラインは、18年度診療報酬改定で新設されるオンライン診療料とは関係なく策定する予定だった」とし、同診療料をにらんだ策定ではないと強調した。

出典:医療介護CBニュース

この記事を評価する

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

TOP