2018.04.11
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医師の働き方、多様さを尊重できる方法模索を~日医・委員会が答申

メディカルサポネット 編集部からのコメント

日本医師会は勤務環境を改善するための具体的な方策を盛り込んだ委員会の答申において、「医師の健康と地域医療の両方を守る」ため、慎重な対応を行うよう訴えました。

 

   

答申の内容を説明する松本吉郎常任理事(11日、日医会館)

  

日本医師会(日医)は11日、医師の勤務環境を改善するための具体的な方策を盛り込んだ委員会の答申を公表した。業務の特性に応じた医師の多様な働き方を尊重できる方法を模索すべきだとの考えを示している。【松村秀士】

 

この答申は、日医の「医師の働き方検討委員会」が横倉義武会長からの諮問を受けて、

議論を重ねた結果をまとめたもので、医療界が医師の働き方について

検討をする際のたたき台にしてもらうことを想定している。

 

答申では、医師は診療業務を主に行う医療機関だけでなく、

研究・教育機関の大学で勤務する場合もあると指摘。

その上で、医師の働き方に一律の規制を適用するのは現実的ではなく、

「業務の特性に応じた多様な働き方を尊重できる方法を模索する必要がある」とした。

 

また、医師の働き方を検討する際に重要なことは、医師の健康と地域医療の両方を守ることだと強調。

医師の健康を守るために、医師の時間外労働時間の上限について医療界が意見集約して設定することが「妥当」であり、

産業医や病院長、管理監督者らによる「組織的な産業保健活動」が求められると指摘した。

 

医師の自己研さんや宿日直の仕組みを検討する場合は、

労働時間と院内の滞在時間に差が生じることがあるため、

両方の時間の差が医師の健康に影響を及ぼす可能性を念頭に置いて、

時間外労働時間の上限設定が必要だとした。

 

答申ではまた、医師の労働時間を制限した場合、地域医療への弊害として現場から、

▽救急医療からの撤退

▽外来診療の縮小

▽産科・小児科の撤退

▽医療機関の経営破たん

▽医療の質低下

―などが起きるとの声が寄せられたと説明。

「地域医療の大幅な後退や医療崩壊が起きないようにさまざまな方策と、

医師の労務管理に関する柔軟な対応が求められる」との考えを示した。

 

さらに、医師の健康を守るために労働時間に一定の上限が必要なことは「理解できる」としつつも、

時間規制の実施に関しては「慎重に行う必要がある」と訴えている。

 

宿日直に関しては、可能であれば交代制勤務を進めるべきだが、

医師が少ない医療機関などでは交代制の勤務シフトを組むことが困難なため、

交代制勤務ではない連続労働を認めることが必要だとした。

ただし、24時間を超える勤務については医療事故のリスクや医師の健康面から避けるべきだとした。  

  

出典:医療介護CBニュース

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